イントロダクション

ここでは「野球」のためのスコアブックについて講習します。なおここでは簡単な野球用語は知っていると前提で話を進めます。スコアブックとは一種の「記録簿」です。野球のスコアブックは、選手の試合経過や結果などを記録します。(例:ヒット、エラー、三振、四死球、盗塁など)

スコアブックは試合中に記入するので、簡潔に記入しなければ間に合いません。そのため、スコアブックにはさまざまな記号が用いられます。例をあげると 下のようになります。ただ、スコアブックの記号や記入方法は、地方やグループによって微妙に違います。

見逃し三振 スイングアウト SO
四球 フライ F
死球 DB ライナー
エラー 盗塁 S

スコアブックをつけると各選手の成績を出すことができます。プロアマ問わず、選手の成績を知ることは非常に重要です。スコアブックによって、自分のチームだけではなく相手チームの長所,短所,癖などを推測することができます。


スコアの重要性

スコアブックは難しそうと思って、敬遠するケースは決して少なくありません。しかし実際につけてみると、思ったほど難しくないです。最初のうちはミスも多いし、ぎこちないこともあるでしょう。しかし何試合も重ねれば、かなりスムーズに書けるようになります。

スコアブックをつけると記録が残ります。これは当たり前のことです。しかし自分たちがやっている試合やTVでやっている試合でも、スコアブックをつければデータとして残るのです。そのデータを分析することによって、チームや自分の長所や短所がわかります。もちろん、相手の特徴もつかめます。

  1. ピッチャーの投球パターン
  2. キャッチャーやバッターの特徴
  3. 相手の攻撃あるいは守備のパターン
  4. チームの特徴、各選手の特徴

スコアブックの記録から、打率,防御率,守備率などを算出することができます。それらを引き出すのも面白いし、特に野球をやっている人なら、はげみにもなることもあります。しかし記録に拘りすぎると、選手のプレッシャーになりうるので要注意です。とくにマネージャーや監督はこのことを覚えるべきです。

野球部のマネージャーは、スコアは必須であるし、野球部の選手もつけれるようになるべきです。また観戦する人も、別の視点で(記録員の立場で)、野球を見ることができ、野球に対する視野が間違いなく広くなります。好きなチームの試合を、スコアをつけながら観戦してみると、一つの試合から多くのことに気付くかもしれません。時々解説員の言葉が、あまりにもこっけいに見えるかもしれませんよ。

参考:

王選手は引退までにホームランを868本打ちました。王選手のホームランの分析方法でも色々な観点で分析できます。例えば、「1.対戦チーム別 」「2.球場別 」「3.イニング別 」「4.方向別」「5.走者別」 などです。ちなみに方向別では、右翼に612本,右中間に140本,左翼に61本,センターに40本,左中間に15本と言う結果でした。スコアブックがなければ、このように記録を出すことは到底不可能です。

金田正一投手は、通算400勝を飾っています。金田投手は、昭和38年8月21日に、中日球場でパーフェクトゲームを完成しています。打者27人に対して、88球投げて内野ゴロ8本、内野フライ3本、外野フライ6本、三振10個でした。スコアブックがあればもっと細かいことわかります

完全試合を見れたのは、野球ファンにとっては非常に嬉いことのひとつです。しかし試合の後で、三振をいくつ取ったのかな?と考えるのと、三振が10個もあるなとはっきりわかるのでは、実感が違います。


スコアブックの重要事項

スコアブックを書く際に重要なことは以下のとおりです。

  1. 正確にそしてスピーディーに記録すること。
  2. 記録のルールを把握していること。

スコアブックを書く際に重要なことは、正確に記録することです。誤って記録したスコアブックは何の価値もありません。正確に記録するには、まず記号を覚えることが重要です。そしてその記号を使いこなすように訓練するべきです。

「えっとこのプレイの場合、記号はこうだから・・・」と考えてばかりでは、試合の流れについていくことは難しいです。試合はあなたを待ってくれません。

しかし全てのプレイの記号を、いっぺんに覚えるのは非現実的です。まずは三振や四死球、ヒットなど、メジャーなプレイの記号から覚えるのが良いです。インフィールドフライやオブストラクションのように、試合中そんなに登場しないのは後回しです。(まためったに登場しないプレイに関しては、記号にする価値が薄いので、覚えるのを放棄する手もある。非常によく登場する事柄に対しては、記号化する価値はあるけど、生起率の小さい事柄について神経質になるのは無駄である。)

また、記録のルールもある程度覚えるべきです。「記録のルール」とは、記録のやり方に関するきまりです。例えば、「四球目のデッドボールは、四球と死球どっちが記録されるのか?」「どのような状況で自責点(アーンドラン)がつのか?」のように、記録のつけ方にもさまざまなルールがあります。

例えば打点のつけ方にも、ルールがあります。それも一筋縄ではいきません。「打点なんか簡単じゃない。打てばみんな打点になるんだろ。打たなきゃ打点じゃない。」と思うかもしれませんが、大間違いです。

記録のルールは、スコアブックを記入した後に行う「集計作業」をする力を発揮します。集計作業とは、「打率や防御率、打点などを算出する作業」を指します。しかし集計作業は、スコアブックの記入と違って、時間は山のようにあるので慌てなくても大丈夫です。

まず重要なのは記号を使いこなすことです。記録のルールは、その後からでも遅くありません。


ルールを覚えよう

スコアブックの記号を理解しただけでは、まだ不十分です。記号がわかっても、判断に困ることがあるからです。スコアラーなら、簡単な野球のルールは知るべきです。特にマネージャーのように、必然的にスコアブックをつける場合は、なおさらです。

野球のルールはかなる複雑です。サッカーのルールブックは20ページくらいですが、それに対して野球のルールブックは200ページを超えます。野球は思わぬプレーや例外が多いから、どうしてもルールブックが厚くなるのです。

野球は身近なスポーツでありながら、あまり知られていないルールもたくさんあります。このなかには、野球をプレイする上でも、ぜひとも知っておきたいものがたくさんあります。例えばインフィールドフライや振り逃げです。

インフィールドフライ
無死、一死の状態で、ランナーが一二塁、満塁にいるとき、バッターが打った打球が普通の守備行為をすれば捕球できると判断した場合、インフィールドフライになる。バッターは、自動的にアウトとなる。姑息なダブルプレイを防ぐために設けられたルール。(姑息なダブルプレイの例:フライをわざと落とす。→ダブルプレイをねらう。あわよくばトリプルプレイも。)
振り逃げ
《「無死&一死」かつ「ランナーが一塁に居るとき」》以外の状態で、スリーストライク目の投球を捕手が完全捕球できなかった場合、バッターは一塁に向かうことができます。見逃しでも、空振りでも、スリーバント失敗でも振り逃げはできます。(超重要事項)

「インフィールドフライなのに、ダブルプレイされた。ワンナウトのはずだ。」「見逃しで降り逃げをしてセーフになったのに、アウトにされた。」時はどうすればいいでしょう。定義がわかれば迷うことはないはずです。インフィールドフライや振り逃げについて、完璧に説明できる人は少ないし、これらのプレイは決して珍しくないので、ぜひ覚えておくと良いでしょう。

ルールを知っていれば、野球観戦も楽しくなりますし、もめごとも少なくなります。 野球そのものの奥深さを堪能することもできます。スコアラーの場合、スムーズに記録することもできます。「私はプロ野球見ているだけだから、そんなに関係ない。」と思う方もいるかもしれないが、そんな方こそ、ぜひルールを覚えてください。

しかしルールを覚えるのは簡単なことではありません。マニアックなのも沢山あります。まずはよくあるプレイから覚えます。サスペンデッドゲームなど、どうでも良い用語は後回しです。(この言葉の意味を即答できたら、かなりの通です。)

ちなみにこのサイトは、ルールについてはほとんど取り上げません。とくに『ルール辞典』の類のものはまず作らないでしょう。なぜならルールは、いともたやすく変化するからです。ただしルールの歴史なら、話は別になるかもしれませんがその可能性も小さいです。(たとえば1997年のサッカーのルールブックは、ぜんぜん使い物にならないと思った。)

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