CIE表色系は、その名のとおりCIE(国際照明委員会)が定めた表色系です。 混色系の一種で、色光の混合比によって、色を表すシステムです。この表色系 のすばらしい点は、光の色(光源色)も数字で表すことができる点です。これまで 話した、マンセル,オストワルト,PCCSは、物体色は記号で表せるが、 光源色は表すことができません。
またCIEは、色表示の正確性もトップクラスで、マンセルやオストワルトより、 はるかに精度が高いです。そのため、工業的・定量的な応用には、このシステムが もっぱら用いられています。
CIEは最初にRGB表色系を作りました。(代表はGuildとWright) RGB表色系とは、実在する光の三原色の混合比によって、色を表すシ ステムです。つまりCIEは加法混色によるカラーシステムを作ろ うとしたのです。
加法混色は、赤の光、緑の光、青の光の混合比によって、色を作ります。 それぞれの色光は、R,G,Bと表記します。このR,G,Bを三つひっくるめて、 原刺激(色刺激,三刺激,三原色)と呼びます。
それぞれの原刺激は、Rは700nm,Gは546.1nm,Bは435.8nmの スペクトルとしました。これらのスペクトルを三原色の代表選 手にしたのです。
「やったーこれで色を表すシステムができる。」と思ったのはつかの間。 実験してみたところ、思わぬハプニングがあったのです。なんと三原色の 光の混合では作れない色があったのです。例えばあざやなシアンは、 青い光と緑の光があれば作れるはずなのですが、実際にはどのように割合を 変えても作ることはできませんでした。
そこでXYZ表色系の登場です。XYZ表色系は、原刺激R,G,Bを数学的な手法で いじって、そのいじった原刺激(X,Y,Z)を用いて、色を表すシステ ムです。X,Y,Zを用いるので、XYZ表色系と呼ばれるのです。またR,G,B は、実際に存在するスペクトルなので、True Colorと呼ばれます。それに 対して、X,Y,Zは、虚色(False color)と呼ばれます。(R,G,Bを 数学的な手法で変換したものなので、もはやその色は実際にある色ではない。) 虚色のプロフィールを書くと下のようになります。
X :赤の量。ただし明度は持たない。
Y :緑の量。唯一明度を持つ。
Z :青の量。ただし明度は持たない。
ポイントはYは明度をもっていることです。このYを視感反射率と呼びます。 XとZは明度を持たない色です。つまりYの値を示すことによって、 表す色の明度が分かるのです。「なんでYが、 緑の量を表しながら明度も表せるのか。」「どんな数学的手段でXYZを作ったのか。」という 説明は、ものすごく専門的になるので、ここではカットします。(てゆーか、俺も 満足に説明できない。)
RGB表色系では表現できなかった色があったのですが、XYZ表色系によって、 全ての色をX,Y,Zで、表現することができるようになったのです。
次にYxy表色系についてです。Yxy表色系 は根本的にはXYZ表色系と同じです。実用的には こちらが用いられています。XYZ表色系と言ったら、 この表色系を指すことも多々あります。
XYZをグラフで示そうとすると、XとYとZの三つの軸が必要となります。 つまり三次元になるのです。人間は三次元には弱いです。(空間図形が苦手だった人も いたのでは。)そのため三次元のグラフだと扱うのにちょっと不便なので、 なんとか平面で表現できないかという考えから生まれたのが、Yxy表色系 です。
まず三刺激X,Y,Zを下の式で表します。xとyと zは、小文字であることに注目して下さい。
x=X/(X+Y+Z)
y=Y/(X+Y+Z)
z=Z/(X+Y+Z)
x + y + z = 1
このx,y,zを色度座標と呼びます。式により、xとyが決まると、 残りのzも自動的に決まります。
xを横軸に、yを縦軸にとると下のようなグラフになり、これを 色度図と呼びます。
色度図において、視感反射率Yは一定です。この図に載っ ている色は、視感反射率がみんな同じなのです。
xの値が大きいと赤みが、yの値が大きくなると、 緑みが強くなります。またzの値が大きくなると青みが強く なります。(zの値を大きくするには、xとyの値が小さければ良い。)
色をYxy値で表しすときは、色度座標x,yと視感反射率Yの三属性を示します。
また(0.3,0.3)は白色なので、白色点と呼ばれます。白色点 から近い色は彩度が小さく、遠い色は彩度が大きいです。外側に 行けば行くほど鮮やかな色になります。
色相:座標によって決定。xが大きいと赤成分が多く、y成分が
大きいと緑の成分が多くなる。
彩度:白色点から離れれば離れるほど高い
明度:一定
純紫軌跡:上図の紫の線を指します。ここにある色は、スペクトル(単色光) では全く存在しない色(紫〜赤紫)です。スペクトルの混色によって作 れる色です。たとえば紫は、赤と青のスペクトルを混ぜることにより作れます。
スペクトル軌跡:上図の青の線をスペクトル軌跡と呼びます。純紫軌跡 とは反対に、スペクトルとして存在する色が並んでいます。つまりスペクトルの色は、 色度図のもっとも外側に位置しているのです。白色点から最も距離が離れているので、 スペクトルは非常に彩度が高い色であることが分かります。
マンセル表色系とXYZ表色系はJISで採用されており、その二つの値は 互換性があります。つまりマンセル表色系の値から、XYZ表色系の値 に変換することができるのです。もちろん逆も成立します。
余談ですが視感反射率Yから、マンセル明度Vを割り出す式(自作)は下のよう になります。ただ俺が考えた経験式なので、精度は悪いです。(有効数字 一桁)
Y=V(V-1)
これ色彩検定の一級二次試験で結構使えます。視感反射率と明度の値を やっきになって丸暗記している人を見ていると、俺もかなり つらくなります。ちなみにこれ、色彩検定のテキストや解説にも 全く載っていません。問題集でも俺が見る限りではありません。
下の図は、色光の三原色と色料の三原色を色度図にプロットしたものです。 シアン、マゼンタ、イエローに注目すると、いくら色料の三原色でも、 絵の具の彩度は、光の彩度に比べて、かなり低いことが分かります。 つまり光で再現できる色の範囲は、絵の具(インクや塗料も)で再現できる色の範囲 に比べて、広いのです。
色再現の範囲は、色材によっても違います。大小関係を示すと下のようになり ます。将来、新塗料,新インクがができれば、色再現の範囲はさらに広がります。
光 > カラーフィルム > 印刷インク > 塗料,絵の具
XYZ系に生まれ変わったからといって、RGB系が無駄になった わけではありません。RGB系は、実在する色光を使って 操作することができるので、その考えは今でも生きており 、照明の色やカラーテレビ、こうして今あなたが使っているパ ソコンの画面の色などの混合割合を計算したり、表示したり するのに、RGB混色の概念や記号が様々な形で 応用されています。
参考までにRGB系とXYZ系との間の換算式は 下のようになります。
X=2.7689R+1.7517G+1.1302B
Y=R+4.5907G+0.0601B
Z=0.0565G+5.5943B
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