オストワルトシステムは、ドイツの化学者オストワルト(1853-1932)によって、 発明された表色系です。黒色量、白色量、純色量の混合割合によって、色を 表すシステムです。オストワルトは、すべての色は、純色、白色、黒色の 和からなると定義し次の式を定めました。これをオストワルトの色方 程式といいます。
C+B+W=100(%)
C:純色量、B:黒色量、W:白色量
このシステムは現在はあまり使われていませんが、 オストワルトシステムを礎にして発展したカラーシステムが相当あるので (例:CHM、NCS、DIN)、表色系を語るとき、このシステムを 無視することはできません。(ただ このシステムを完全に理解するのはちょっときついかも。)
オストワルトは、1909年にノーベル化学賞を受賞したドイツ の化学者です。物理化学の分野に多大な貢献をし、硫酸の製造法を 発明しました。
4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O (白金触媒下,200℃) 2NO + O2 → 2NO2 3NO2 + H2O → 2HNO3 + NO
「物理化学誌」の創始者,編集者でもあり、彼の名著 「化学の学校」などによって、教育家,啓蒙者としても有名でした 。英語やフランス語,ロシア語にも熟達している上に、音楽や美 術もプロ級の腕前でした。背が高く,ハンサムで温厚な性格で、 鏡に映すようなジェントルマンでありました。(いいとこボンボンだな・・) 53年のときに、大学の教授を引退した後、哲学や色彩に没頭する晩年 を送りました。そのときに生まれたのが、オストワルトシステムなのです。
オストワルトシステムは黒色量,白色量,純色量の混合割合によって、色を表す システムです。
入射した光を完全に反射する色を理想の白、入射した光を 完全に吸収する色を理想の黒とし、その中間にある色をグレイと しました。そして中間のグレイは、明るさの感じ方が等しく見える ように、無彩色の段階(グレイスケールという。)をつくりました。
そしてオストワルトは、グレイスケールを、アルファベット の小文字25文字で表しました。(jは除く)しかし実際には、 これほど多くのグレイスケールは不必要なので、 ルファベット一つおきに、a,c,e,g,i,l,n,p,r,t,v,x,zの 13段階に設定しました。
a, c, e, g, i, l, n, p, r, t, v, x, z
またpより暗い色は、通常の印刷で表現できないので、aからpまでの 8段階でグレイスケールを表します。
a, c, e, g, i, l, n, p
この記号によって、白色量と黒色量は変化します。aがもっとも明るく、pは もっとも暗いです。
記号 | a | c | e | g | i | l | n | p |
白色量 | 89 | 56 | 35 | 22 | 14 | 8.9 | 5.6 | 3.5 |
黒色量 | 11 | 44 | 65 | 78 | 86 | 91.1 | 94.4 | 96.5 |
無彩色はアルファベットによって、上のように白色量と黒色量 の割合が決められています。aが一番明るくて、pが一番暗いことが わかります。
オストワルトの色相は、全部で24に分割されています。 色相分割はへリングの反対色説に基づいて行われました。 まず、赤−緑,黄−青の二組の捕色対を四等分して、色相環上に 並べます。ちなみにこの四色を心理四原色といいます。
次にオレンジ−青緑,紫−黄緑の二組の補色対を、心理四原色の中間に 置いて、8等分します。そうすると主要8色相ができます。
更に主要8色相について、それぞれを三分割し、全部で 24の色相にしました。下の図がオストワルトの色相環です。
主要八色相は、黄(yellow)、オレンジ(orange)、赤(red)、 紫(purple)、青(ultramarine blue)、青緑(turquoise)、緑(sea green)、 黄緑(leaf green)と呼ばれています。(英語に注意しよう。試験にも出るぞ!) 頭文字をとって、黄(Y)、オレンジ(O)、赤(R)、紫(P)、青(UB)、青 緑(T)、緑(SG)、黄緑(LG)と表記します。
図のように、主要八色相の内部は、 それぞれ三つに分割されており、たとえば赤(red)の色相は、 1R,2R,3Rの記号が付けられ、真ん中の2R が代表色になっています。
オストワルトは「全ての色は、純色に白と黒を適当な割合で回転混色する ことによってできている。」としています。したがって下のような式が 成り立ちます。これをオストワルトの色方程式という。
C+B+W=100(%)
C:純色量、B:黒色量、W:白色量
オストワルトの等色相面は、白色,黒色,純色を頂点とする 正三角形をしていることから、等色相三角形といいます。
Wは理想の白、Bは理想の黒、Cは理想の純色を指しま す。もちろんこれらの色は、色票には存在しないので、実際の色票の色は、 等色相三角形の内側にあります。
上の図のアルファベット二文字は、白色量と黒色量を表す記号です。 前の文字が白色量、後ろの文字が黒色量を表しています。
たとえばpaを例にとって説明します。まず白色量はpで、黒色量はaです。 それぞれの値は下の表から分かります。そうする白色量は3.5で、黒色量は 11であることが分かります。純色量は色方程式(C+B+W=100) から求めます。そうすると、100-3.5-11=85.5 であることが分かります。
白色量=3.5 , 黒色量=11 , 純色量=85.5
純色量が非常に大きく、白色量と黒色量は少ない色です。paは 彩度がもっとも高い色、純色(にもっとも近い色)を指すのです。
記号 | a | c | e | g | i | l | n | p |
白色量 | 89 | 56 | 35 | 22 | 14 | 8.9 | 5.6 | 3.5 |
黒色量 | 11 | 44 | 65 | 78 | 86 | 91.1 | 94.4 | 96.5 |
aaやppのように、白色量と黒色量のアルファベットが同じ場合は、 無彩色です。(純色量が0であるから)無彩色は、 アルファベット一文字で表すことができます。(例:aa→a,pp→p) 下の図は、色相番号2および14のだいたいの色見本です
paは鮮やかな色ですね。caはパステルトーンで、leはにごった感じです。 paやle,caなどは、トーンを表している一面があります。 オストワルトシステムは、「白色量+黒色量+純色量(+色相)」で表す面 もありますが、「色相+トーン」で表す一面もあるのです。(paやeaを トーンと考えれば。)そのため明度、彩度に関する考えが希薄です。
オストワルトシステムは、下のように有彩色なら「14pa」と表し、無彩色なら アルファベット一文字で「a」と表します。14paは鮮やかな青で、aは白であるこ とが分かります。
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