2-2 表色系の概要

色を正確に記録・伝達するためには、色を測るものさしが 必要です。「色のものさし」を作って、色を数字化・記号化すれば、 正確に色を記録したり、伝達したりすることができます。 あるきまりに基づいて、色を数字や記号で表す体系を 表色系といいます。

一口に表色系といっても、様々な表色系があります。 たとえば有名な「マンセル表色系」は色の三属性である、明度と彩度,色相によって、 色を表します。マンセル表色系の場合、鮮やかな赤は下のような記号で 表します。

5R 5/14

これは「色相が5R、明度が5、彩度は14」の色を表しています。 Rは赤をあらわしています。明度はそこそこで、彩度は高いです。

マンセルについては、後で詳しく説明します。ここでは「表色系は、 色を記号・数字で表現するシステムなんだ。そのことによって、正確に 色を伝達することが簡単になるんだ。」ということを覚えてください。

■ 表色系の働き

表色系には以下のような働きがあります。

1. 色を数字や記号を用いて、正確に記録・伝達する。

2. 配色調和の理由や規則を探すツールになる。

配色を言葉で表すだけでも十分ですが、表色系を使って調和配色を表現すると 、もっと精密に表現することができます。また表色系は、色を数字化・記号化する システムなので、表色系を通して、調和している配色を分析すると、 調和している理由を示しやすくなります。(数字が絡んでいるから)

これはかなり重要です。何でかというと、調和している理由を、カンだけではなく 言葉や数字で説明できるからです。ただ「この配色は好きだから、きれいだから」と クライアントに言っても、納得するとは限りません。(行き違いがあるとアウト) 配色について説明できることは、クライアントを納得させるのに、 必要不可欠な要素です。また自分自身のためにもなります。

3. 色名を規定する。

たとえば「色相は青,彩度は3〜6,明度は3〜5の範囲を マリンブルーと定義する。」というように、ある色の範囲を、 表色系を用いて規定することができます。このような規定 を設けると、色名で色を伝えても、比較的正確に色の伝達ができます。

■ 表色系の種類

マンセルシステム
 アメリカの画家&美術教師であるマンセルが、1905年に考えた表色系で、 色相,明度,彩度の三属性で、色を記号化して表現します。 1943年にアメリカ光学会(OSA)が改良を加えて、修正マンセルシステムを 発表しました。現在マンセルシステムと言ったら、「修正マンセルシステム」 を指すことが多いです。色を正確にあらわすのに適しており、この表色系 は世界的に非常にポピュラーです。日本でもJIS(日本工業規格)に採 用され、産業界で広く用いられています。

オストワルトシステム
 ドイツの化学者オストワルトによって作られた表色系で、純色と白色と黒色 の混合比によって、色を表現しています。改良版として、 カラーハーモニーマニュアル(CHM)があります。 デザイナーの間で人気が高く、配色調和を考えるのに 向いていますが、現在ではほとんど使われていません。

PCCS
 日本色彩研究所によって、配色調和を主な目的として作られた表色系です。 デザイン系の大学や専門学校で、教育用として使われています。 配色に便利なように工夫されています。特徴は明度と 彩度の複合概念であるトーンを導入しているところです。 (それがゆえに精密な色の伝達には向いていない。) トーンと色相で、色を表現するシステムをヒュー&ト ーンシステムといいます。

CIE
 国際照明委員会(CIE)が制定した表色系です。 物体の色だけでなく、透過色(例:ガラスの色)や光源色(例:花火やライトの色) も記号化することができるので、注目されています。世界的にも非常に有名です。 とくに照明の世界では、非常に重要な表色系です。(照明の色を表現できるから。)

NCS
 スウェーデンの国家規格に制定されている表色系です。 ヨーロッパで広く使われています。

DIN
 オストワルトシステムをベースに作られた、ドイツの工業規格に 制定されている表色系です。

OSA-UCS
 アメリカ光学会で開発された表色系です。建築関係で よく使われています。

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