2-1 色見本方式と色名方式

古くから行われた色の伝達方法として、色見本方式と色名方式が があります。

■ 色見本方式

色見本方式とは、色を表している実物(塗板や染色布) を用いて、色を伝える方式です。色を区別しやすくするために、 色見本に番号や記号をつけることもあります。

たとえば下のような色見本があったとします。このような 色見本があると、「それじゃあ布の色は、8番の色でお願いね。」 と、色見本を通して色を伝えることができます。

色見本

ただ色見本は、時間の経過によって変色や退色するので、色見本の 取り扱いには注意が必要です。

■ 色名方式

その名のとおり、色名(color name)を用いて、色を伝え る方法です。言葉で色を伝えるので正確性には欠けます。

色名には慣用色名と系統色名の二種類があります。 慣用色名とは、身の回りの動物や植物などの名前を借り、 言いあらわした色名を指します。(例:空色、桜色、 小豆色、きつね色など)

慣用色名はイメージしやすく、わりと手軽に色を伝えることが できます。例えば桜色といったら、「桜のように薄いピ ンク」と、多くの人がイメージできます。しかし慣用色名は、 正確性に欠けるデメリットがあります。なぜなら色や物のイメージは、 人によって千差万別だからです。桜と言っても、みんな同じ 桜をイメージするとは限りません。たとえ同じ桜でも、 桜に対してイメージする色が、人によってまちまちです。

次に系統色名についてです。系統色名とは、あざやかな,くす んだ,濃いなどの形容詞と色相(基本色名)を組み合わせた色名です。 つまりトーンと色相で色を表すのです。

系統色名= 形容詞 + 色相

系統色名は、慣用色名よりは正確に色を伝達できます。しかし 正確性に関して言うと、まだまだ不十分です。たとえば「明るい青」や 「あざやかな青」といった表現では、人それぞれにおいて、イメ ージが異なってしまうことがあるでしょう。

■ 色を伝える「色のものさし」〜色名だけでは不十分〜

色名方式は、手軽に色を伝達できる反面、正確性に欠けるデメリットが あります。普段の生活では、大雑把に色が伝われば事足りるので、 気軽に色を表現できる色名方式をガンガン使うと良いでしょう。

しかし正確に色を伝えたい場面では、色名方式オンリーで、色を伝えるべきで はありません。ファッション業界やデザイン関係のように、色とかか わりが強いところでは、色の伝達が正確でないと、不都合な場面 が多くなります。

たとえば「赤色の布が欲しい」といっても、真っ赤な布 が届くかもしれませんし、朱色みたいな布が届くかもしれません。 自分がイメージしている赤とは、まったく違う赤が来ることも少なくありません。 こんなトラブルが続くと、伝える側も伝えられる側も、不利益を被っ てしまいます。

それではどうすればいいのでしょうか?そこで「色のものさし」である 表色系の登場です。表色系を使うと、客観的に色を伝達・記録できるよ うになります。さっき書いたトラブルもぐっと少なくなります。 次セクション以降では、表色系の概要と代表的な表色系に ついて、説明します。

SEO [PR] おまとめローン 冷え性対策 坂本龍馬 動画掲示板 レンタルサーバー SEO