1-6 目のしくみ

色は目で見るものです。色は目が関わっているので、色を学習するとき 、目について知ることは非常に重要です。この内容は、中学校の理科や高校 の生物でもテストに出るかもしれません。

視覚は人間の五感の中でも一番情報収集力が高いです。俺たちが受け取る 情報のうち、83%が視覚によるものであると言われています。

視覚現象の三要素は、「光」「物体」「目」です。これまでは「光」と「物体」 について学びました。ここでは「目」についてレクチャーします。

■ 目の働き

眼の構造

A:光が眼に入ると、光は角膜によって大きく屈折します。

B:その光は、取り込む光の量を調節している虹彩に達します。 虹彩は明るさに応じて、黒目の中央である瞳孔(ひとみ)の大き さを3〜8mmの範囲で変化させています。

C:毛様体筋が、水晶体の厚みを変化させることによって、 物を見るときのピント調節を行います。近くを見ているときは 水晶体は膨らみ、遠くを見るときは水晶体は薄くなります。

D:光はゼリー状の組織である硝子体を通り、網膜に到達します。 網膜には光をとらえる二種類の視細胞(錐体&杆体)があります。 その視細胞によって、光が受け止められ、光の情報が電気信 号に変換されます。

E:電気信号は視神経によって大脳に伝達されます。それによって、 私たちは色を感じることが出来るのです。

■ 目の構造

眼の構造

目は直径約24mm、重さは約6.7gです。重要なパーツについて簡単に説明します。

角膜:眼球の最も外側にあたる透明な膜。黒目にあたる。これに 連なって、白目の強膜がある。外の光を屈折させ、瞳の中に光を送り込む働き がある。

虹彩:光の量を調節する部分。中心に瞳孔(ひとみ)がある。 脈絡膜の一部。目の色は虹彩によって決まる。

水晶体:眼球に入った光を屈折させる。しかし角膜の方が 屈折度は大きい。また水晶体の厚みを変える事で、ピント調節を 行う働きがある。

硝子体:眼球の内容の大半を占める。ゼリー状の物質。眼球の形を 維持する働きがある。

眼球は三層の膜から出来ています。一番外側が強膜、ついで脈絡 膜、そして一番内側が網膜です。

強膜:厚さ約1mmの丈夫な保護膜。この膜を外から見られる 部分がいわゆる白目と言われている部分。

脈絡膜:強膜と網膜の間にある。血管が多く、網膜に栄養分を 送る働きをしている。別名ブドウ膜。

網膜:一番外側にある膜。色を感じる際に重要な視細胞がある。 光を感じる細胞(杆体細胞)と色や形を感じる細胞(錐体細胞) がある。

網膜はカメラで言うとフィルムに相当します。色や光を感じるのに 重要な部分です。網膜をアシストしているのが、網膜に栄養を 送っている脈絡膜です。強膜は丈夫な膜で、目の形を維持するの に欠かせません。カメラで言うとボディに相当します。

その他重要なパーツ

中心窩:眼底の中心を黄斑(おうはん)と言う。錐体が 最も集まっている部分。

視神経:網膜に達した刺激(視覚情報)を脳の中枢に伝える。

視神経乳頭:視神経の出発点。この部分には視細胞がない。 そのためこの部分を盲点(マリオットの暗点)と言う。

■ 視細胞

網膜には、色を感じるために絶対に必要な細胞が二種類あります。杆体と 錐体です。杆体は光の明るさを感じて、錐体は色みや形を感じます。

杆体:暗い所で働き、明暗を感じることが出来る棒状の視細胞。 網膜全面に分布しているが、中心荷にはほとんどない。約1億2000 万個ある。

杆体が働いている視覚の状態を暗所視と言います。杆体が 明るさを感じられるのは、ロドプシン(視紅)という物質が 含まれているからです。視紅は光が当たると、 弱い電気を発生して、分解してしまいます。弱い電気が 脳に伝達され、明るさという感覚を引き起こします。 分解された視紅は、ビタミンAによって再合成されます。 そのため、ビタミンAが不足すると「とり目」になりやすいです。

錐体:明るい所で働き、色覚が生じる円錐状の細胞。網膜の中心化に 集中、中心化の周辺部にはほとんどない。網膜全体で約600万個あると 推定されている。また錐体には、赤を感じる錐体(L錐体)、緑を感じる錐体 (M錐体)、青を感じる錐体(S錐体)の三種類があります。

明るくないと色は識別しにくいです。錐体が働いている視覚の状態を 明所視と言います。錐体が働くには、数ルクス以上の光が必要です。

■ マリオットの暗点

錐体&杆体によって、私たちは色を感じることが出来ます。逆に言うと、 錐体や杆体がない部分では、色を感じることができません。視神経の出口である、 視神経乳頭(図で確認)には視細胞がありません。そのためこの部分で結ばれた 像は、全く見えません。この部分をマリオットの暗点(盲点)といいます。 間違いやすいですが、「マリオネットの暗点」ではありません。

■ プルキンエ現象

杆体は暗い所で働き、錐体は明るい所で働きます。また錐体が働いている 視覚状態を明所視と言い、杆体が働いている視覚状態を暗所視と言います。 下の図は、明所視と暗所視における感度と波長のグラフです。このグラフは 人によって微妙に違いますがそんなに大差はありません。CIEで標準が 定められています。

感度曲線

グラフを見ると、明所視(錐体)は長波長側に感度が高く、 暗所視(杆体)は短波長側に感度が高いです。したがって、明所視 から暗所視に移る状態では、赤いものが相対的に 暗くなり、青いものは相対的に明るくなります。このような現象を プルキンエ現象と言います。

完全に暗所視になると、色は見えなくなります。しかしこのときも、 プルキンエ現象が起っています。例えば同じ明るさの赤い物体と青 い物体があるとき、完全な暗所視になると、両方とも灰色に見えますが、 後者の方が前者より明るい灰色に見えます。(青→明るい灰色、赤→ 暗い灰色)

■ 暗順応と明順応

映画館に入ると、入ったばかりのときは、空席を探すのに苦労することが あります。しかし数分経つと、目が暗闇に慣れてきて、まわりが しだいに良く見えるようになります。この現象を暗順応と言います。 暗順応は、明所視の状態から暗所視に切り替わったときに起る 現象とも言えます。

映画を見終わって外に出ると、外の太陽がまぶしくて困ります。時間が 経つと目が慣れてきます。これを明順応と言います。 明順応にかかる時間は、暗順応に比べてはるかに短いです。 明順応は、暗所視の状態から明所視に切り替わっ たときに起る現象です。

暗順応:暗い場所に目が慣れること。明所視→暗所視

明順応:明るい場所に目が慣れること。暗所視→明所視

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