太陽光のような白色光は、赤・橙・黄・緑・青・藍・菫（青紫）の全ての 色光が均等に含まれています。また白熱灯は、赤やオレンジのような長波長の光が、 他の波長の光より多く含まれているので、オレンジっぽく見えます。 太陽や白熱灯の色は、光の色（光源色）です。それでは服や絵の具のような、 物についている色（物体色）は、どのように見えるのでしょうか？
光源色は、ストレートに光の成分が目に入ります。それに対して物体色は、 光がいったん物体に当たり、その光の一部が物体に吸収され、その結果残りの反射 した光の成分だけが、目に入ります。反射した光が目に入り、私たちは色を感 じます。
漠然としていて分かりにくいので、例を挙げて説明します。
光源色）太陽の光は、太陽光がそのまま目に入ります。目に入った結果、 私たちは「無色だ」と感じるのです。
物体色）例えばさくらんぼ（赤色の物体）があったと します。太陽光がさくらんぼに当たり、赤色以外の光は、 さくらんぼ（物体）に吸収されます。その結果、赤色の光だけが 反射し、目に入ります。そして私たちは「赤いさくらんぼ」を 「赤だ」と感じるのです。
もしさくらんぼが、黄色の光だけを反射し、それ以外の光を吸収すると、 さくらんぼは「黄色いさくらんぼ」になります。（おい、古いぞ！） 見方を変えると、「赤いさくらんぼ」は、赤以外の色光を欲し がっているのです。「青い絵の具」は、青以外の色光をゲットして いるのです。
厳密にいうと、「赤いさくらんぼ」は、赤い光だけを反射しているわけ ではありません。赤以外の光も、少しではあるが、反射しているのです。 ただ相対的には、赤の光が他の色光より、多く反射しているので、 「赤いさくらんぼ」は赤く見えるのです。
また光の反射が多い（吸収が少ない）と明るい色に、反射が少ない（吸収が多い）と 暗い色に見えます。墨のような黒色は、ほぼ全ての光が墨に吸収されて、わずかな光が 私たちの目に飛び込むのです。
「色は壊れた光である」これは小林秀雄の言葉です。 色のバランスを保って無色のフリをしていた太陽光が、いったん物体に当たると、バランスが 壊れてしまいます。そのバランスの壊れた光が色なのです。物は光を壊して、その見返りに 色をもらうのです。
物体は、光の一部を吸収します。そして反射した光が、私たちの目に入って、 私たちは物体に対して色を感じるのです。このことを良く覚えてください。
短波長は主として青の光、 中波長は主として緑の光、 長波長は主として赤い光です。 ここでは代表的な色の見え方について説明します。
白色光は長波長、中波長、短波長の光が、同じ割合で含まれています。 物体の表面が、光の割合のバランスを壊すことなく、わずかな光を吸収し、 残りの大部分が反射すると、その物体は白く見えます。同じように、光の 割合のバランスを壊すことなく反射する場合でも、殆どの光を吸収し、 わずかな光が反射すると、物体は黒く見えます。
このように、反射する光の割合が均等であると、物体は無彩色に見えます。 無彩色は白，黒，グレイのように、色みを持たない色です。
白：長波長○ 中波長○ 短波長○
黒：長波長× 中波長× 短波長×
灰：長波長△ 中波長△ 短波長△
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逆に反射する光の割合が均等でない場合、物体は有彩色に見えます。 例えば、赤の物体は長波長の光が、緑の物体は中波長の光が、青の物体は短波長の光が、 他の波長の光より、多く反射しています。
赤：長波長○ 中波長× 短波長×
緑：長波長× 中波長○ 短波長×
青：長波長× 中波長× 短波長○
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それでは黄色の物体の反射特性について、考えてみましょう。 「黄色の光だけが反射するんだ。」、それでも正解です。 しかし、長波長と中波長の光（赤の光と緑の光）を多く反射し、短波長の光はわ ずかしか反射していない状態でも、物体は黄色く見えます。赤い光と緑の光 が重なると、黄色の光になるのです。テレビやパソコンで、黄色は赤の光と 緑の光を組み合わせて表現しています。
オレンジは、赤と黄の中間の色です。オレンジ色の物体は、 長波長の光を多く反射し、中波長の光をそこそこ反射し、短波長の 光はほとんど反射しません。
黄：長波長○ 中波長○ 短波長×
橙：長波長○ 中波長△ 短波長×
赤：長波長○ 中波長× 短波長×
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ブルーベリーにような紫の物体は、長波長と短波長の光が、たくさん反射しています 。中波長の光のほとんどは、紫の物体に吸収されます。ここで、長波長の光が 短波長の光より多く反射していると、物体は赤紫に見えます。 その逆は青紫に見えます。
赤紫：長波長△ 中波長× 短波長○
紫：長波長○ 中波長× 短波長○
青紫：長波長○ 中波長× 短波長△
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