序 はじめに

目を開けると、身の回りにはさまざまな色が溢れています。 山を見れば、海を見れば、そこには美しい景色があたり一面に広が っています。自然には美しい要素がいっぱいあります。そのため自 然の配色は、配色のヒントになることがかなりあります。

美しい海

私たちは色と常に関わって生きています。 また生活の基本である衣食住は、 色とのかかわりが強いです

:ファッションのコーディネートで、 「この服と合う色は何だろう?」と悩むことは良く あります。ファッションは相手に見られることが前提です。 そのため視覚は極めて重要です。その視覚で特に重要なのが色なの です。服だけではなく、メイクでも「私の肌にはどの口紅 やアイカラーが似合うんだろう。」と、色に関する悩み は多いです。

:「見た目も味のうち」という言葉がありますね。食べ物が美味しく感じる要因として、 味だけ出なく、色も重要です。青の食材は決して美味しくは見えません。また食器の色 も見のがすことは出来ません。テーブルセッティングも、パーティーをするときには、 非常に重要です。セッティングは、レイアウトも重要ですが、テーブルクロスや 飾りの色に注意することも、レイアウトに負けないくらい重要です。

:インテリアも色が重要なキーになります。壁の色が小麦色のように黄色っぽい 温かみのあるオフホワイトは、ナチュラルやカジュアルなイメージを与えます。また 壁の色が無彩色なら、モダンでシャープなイメージになります。壁,床,天井の 色の組み合わせや、家具の色と部屋の色をどう合わせるかなど、インテリアで も色に注意を払う必要があります。長い時間住む家です。自分の住む家なのですから、 快適でありたいですよね。

最近は、コンピューターの発達で、私たちを取り巻く色の数が、 格段に増えました。そのため色があまりにも身近すぎて、注意し にくくなるのも無理もありません。私たちの頭が、色の氾濫につ いていけなくなって、色に関する感覚が鈍っているかもしれません。

俺が友達や先生に「色を勉強している。」と言うと、「それ結構センス 必要なんでしょ。」と言われることがよくあります。俺は「そんなことないよ。 あなたもやって見たら。」と言うと、相手はとんでもないような顔をします。 決まって言う言葉は「俺はセンスないから。」です。ここまで来られたなら、 「色彩=センスが良い奴だけが学ぶもの」という等式は、間違っていることに 気づいているはずです。いやセンスと言う言葉は、あまりにもいい加減すぎて、 むやみに使えなくなっているかもしれません。

「俺はセンスがないから。」と言われる方は結構います。しかしその方は、 センスがないと言うよりは、色に対する注意力がちょっと足りないだけだと、 思うのです。色の勉強をするとそれが間違いだって事に気づくはずです。 そして、色に注意するようになると、自然と色に関する悩みは少なくなる はずです。あっても割と簡単に解決できるようになるはずです。

色を勉強すると趣味や知識の幅が間違いなく広がります。俺も色を勉強して、 今まで絶対に関心がなかった美術史や文学などに、興味を持つように なりました。また既存の趣味も違った視点で見ることが できます。北欧神話なら、「この神って色で例えるとどうなるんだろう?」とか、 「アングロサクソンのイメージはどんな色だろう?」などです。タロットはインスピレ ーションやイマジネーションが重要なので、カードの色は、カードを読む際に 大きな手がかりになります。

有本祝子・岡村美和共著の「わかりやすい色彩と配色の基礎知識」で、この ような記述があります。

著者がある講座での授業をしていて、残すところ後一回となったときです。 授業が終わったとき、年配の男性が著者にこう言ったのです。

「ここに来て、色の勉強が出来て本当に良かった。でももっと若いときに 勉強できたら良かったなぁ。本当に人生が変わっていたと思うよ。後一 回だと思うと本当に名残惜しいな。」

ちなみに彼は色に興味を持っていたわけではなく、たまたま講座の中に 色彩の授業があって、色について学ぶことになっていたのです。(なんの講 座なんだろう。)

「人生が変わる」って言う言葉は大げさに見えるかもしれませんが、 今の俺ならその気持ちよく分かります。俺も「今まではずっと無頓着だったのに、 身の回りの色に注意せずにいられなくなった。」ことが何十回もあります。


初級編では、生活に使えそうな色彩知識を中心に解説しました。中級編では、 生活に直接関わることも話しますが、直接関係ない内容もあります。特に一章の 「色の本質」は、理系の方なら問題は少ないですが、それ以外の方はけっこう きつい内容です。大部分の色彩の本では、一番最初に書かれる内容です。 しかしそうすると、「色って難しいな。」「こんなの使えるの。」と誤 解を招く恐れがあるので、初級編では全く取り上げなかったのです。

 第一章は「色の本質」です。科学的な視点で色を見ます。色を見るのに 必要な要素、「光」「物体」「目」について解説します。 また「色覚」についても簡単に触れます。かなり理系チックな 内容です。

第二章は「色の伝達」です。色を伝えるには、「赤色のセーターが欲しい」と 色の名前で伝える方法と、「色相は24、明度は8、彩度は2」のように数字や 言葉で伝える方法があります。どちらもメリットもありますし、デメリッ トもあります。ファションや染色業界では、 色を正確に伝えることは、極めて重要です。少し理系よりです。

第三章は「色彩心理」です。初級編でかなり取り上げましたが、初級編で は紹介し切れなかった錯視や、色のイメージを分析する手法について紹介します。

第四章は「色彩文化」です。日本とヨーロッパの色彩に関する歴史 について、紹介します。昔の人が、色を手に入れるのに、苦労したかが よく分かります。

第五章は「色彩調和論」です。西洋では、色の調和には何らかの規則が あると考えられていました。色彩調和論に関して、さまざまな論文があります。 代表的な論文の内容、色彩調和論の経緯について紹介します。日本人と西洋人の 考えが、いかに違うかが良く分かります。またPCCSを 使った配色についても取り上げます。

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