色は私たちに様々なイメージを与えます。 ここでは色の感じ方やイメージについて紹介します。
「色に対する感情なんて人によって考えが違うから、 そんなの覚えたって意味がない。得体が知れない。」 と考える方もいるかもしれません。しかし、そうとは限りません。
色に対する感情は、表現感情と固有感情の二種類が あります。表現感情とは、「情緒的な感じ方」で、 見る人の主観的な感情を指します。たとえば、「好き−嫌い」 「美しい−醜い」などです。
それに対して、固有感情とは、「生理的な感じ方」で、 表現感情に比べて客観的で、多くの人が同じように感じる 感情を指します。例えば、「暑い−寒い」「重い−軽い 」「固い−柔らかい」などです。
同じ感情でも、表現感情(好き嫌い)を予測するのは 非常に難しいが、固有感情は例外はあるにせよ、ほぼ万人に 共通しているので、固有感情を利用した色彩計画はたくさん あります。
例えばこんな事例があります。ある社員食堂で、壁の色に薄 い青を使っていました。社員から寒いと苦情が続出しました。 エアコンの温度を上げても、苦情はほとんど治まりませんでした。 そこで、食堂の壁の色をオレンジ色に変えたところ、こん どは暑いと上着を脱ぐ人が増えたのです。そこでエアコンの 温度を下げたところ、クレームは全くなくなりました。
この例は「オレンジ→暖かい」「青→寒い」という固有感情 を利用した例です。
暖かそうに感じる色を暖色系、寒そうに感じる色を寒色系と 言います。緑や紫のように温度感がハッキリしない色を 中性色系といいます。
暖色系:色相が赤、オレンジ、黄
寒色系:色相が青緑、青
中性色系:色相が緑、紫
暖色系 |
寒色系 |
中性色系 |
暖色系と寒色系の心理的温度差は、3℃であると言 われています。
オフィスや学校などで、自分のやる気をアピールしたいときは、 赤色のネクタイ,時計,バックなどをアクセントに身に付 けると良いです。なぜなら赤は、人に熱いイメージを与えるか らです。
東京タワーは、夏の夜は青いランプが灯り、冬の夜は オレンジっぽいランプが灯ります。なぜだかはわかりますね。 青は涼しいイメージを、オレンジは暖かいイメージを与える からです。
バスルームにオススメの色は、暖色系 でも寒色系でもありません。暖色系を使うと冬は問題ありませんが、 夏は暑いので暑いイメージを増幅させてしまいます。 リラックスする場であるバスルームでは、 良いとは言えません。寒色系は暖色系とは逆に、夏は涼し いイメージがあるので問題ありませんが、冬の場合は寒くて 大変です。沖縄のように一年中暑いところなら、寒色系を 使っても支障はないかもしれません。
バスルームに最適なのは中性色系です。その中でも自然や やすらぎをイメージさせるグリーンがベストです。紫も中性 色系ですが、リラックスするには使いにくい色です。また肌の色に近い事から、 クリーム色やベージュを使う手もあります。白は汚れが目立つ欠点が あるので、お勧めできません。同じ白ならオフホワイトの方が良いです。
軽い色は高明度の色、重い色は低明度の色を指します。
軽い色 |
重い色 |
重い色の代表である黒は、軽い色の代表である 白に比べて、1.87倍重いと言われています。引越しに使う ダンボールは白やベージュなど高明度の色が多いです。 その理由として、ダンボールの色が真っ黒であると、 荷物が重そうに見えて、作業の効率が落ちてしまう からです。
飛行機や新幹線のボディーカラーが白なのは、軽やかさを 印象付けるのに効果的であるからです。
超有名ブランド「エルメス」では、ラッピングを頼むと オレンジのペーパーにこげ茶のリボンをかけてくれます。中の物 が重そうに見え、高級感が漂うイメージを客に持たせるのが狙 いかもしれません。ブランド名だけではなく、色のパワーを利用した 演出法ですね。
超有名ブランド「ティファニー」では、ケースの色が水色 です。ケースを開けるとき、重要な買い物をしたと思わせるのではなく、 気持ちを軽くするところに戦略があるかもしれません。軽い色にすると 、客に手ごろ感を与え、「また買おうかな。」と思わせる 効果があるのです。
「手ごろでお買い得な商品」をモットーにする店舗は、軽い色の ラッピングを使用し、高級感をキーワードにしている店舗は、 重い色のラッピングを使用した方がベターであると言えます。
固い色は低明度・低彩度の色、柔らかい色は高明 度・低彩度の色を指します。
柔らかい色 |
固い色 |
子供がクレヨンでウサギの絵を書くとき、ピンクを 使うことが多いです。これはウサギの柔らかいイメージを ピンク色で表していると考えられます。
またベビー用品もうすい赤やうすい青のようにパステル系の 色が非常に多いです。赤ちゃんの肌の柔らかいイメージと マッチさせる意味があります。
鉄アレイは暗い色が多いです。確かに鉄アレイは硬いのですが、 見るだけでも硬いなあと感じます。ちなみにどうでも良いけど、 鉄アレイの「アレイ」は日本語です。漢字で「亜鈴」と書きます。 化学の先生が授業のときに言っていました。
色を見ると興奮する色と沈静する色があります。 暖色系で高彩度な色は興奮感を与え、寒色系の色は 沈静感を与えます。
興奮色 |
沈静色 |
興奮色を利用している例は、 闘牛の赤いマントです。 赤いマントは牛を興奮させると思われがちであるが、 実際は人間(観客)を興奮させるためにあるのです。牛は 動いているものに対して興奮します。極端な話、 青いマントでも黒いマントでも良いのです。しかし青や黒 のマントであると盛り上りに欠けるので、赤を使うことに よって、観客を盛り上がらせるのです。
沈静色を利用している例は、薬のパッケージです。 沈静色は落ち着かせる効果があるからです。
派手な色は高彩度の色、地味な色は低彩度の色を 指すと思われがちですが、違います。同じ高彩度でも、 高彩度・低明度の色(ディープトーンの色)は派手とは 言えません。また、同じ低彩度でもパステル系の色 (ペールトーンの色)は地味とは言えません。
派手な色は高彩度で、かつ低明度ではない色、地味な色は 低彩度で、かつグレイや黒がかかった色と言うことが出来ます。
派手な色 |
地味な色 |
下の図を見てください。同じ形なのにも関わらず、左図の 方は、中心の色が出っ張って見えませんか。また右図の方は 、中心の色が引っ込んでいるように見えませんか。
色には進出色と後退色があります。進出色は暖色系、高明度 、高彩度の色です。後退色は、寒色系、低明度、低彩度の色です。 暖色系や明るい色なら進出色、寒色系や暗い色は後退色と 言えます。
この応用がメイクです。顔に立体感を出すために、頬の高い位置 や鼻筋にチークやハイライトをいれ、頬の下にシャドーを入れることが あります。これは、進出色と後退色を利用して、顔を立体的に見 せているからです。ちなみにアイシャドーも後退色の役目を果たしています。
下の図を見てください。同じ形なのに、 白色はふくらんでいるように見えて、黒色は収縮してみ えませんか?膨張(ぼうちょう)して見える色を膨張色、収縮して見える色を 収縮色といいます。進出色は膨張して見え、後退色は収縮して見えるので、 進出色と膨張色、後退色と収縮色はほぼ同じ色である言えます。
囲碁には白目と黒目があります。しかし黒目の大きさは、白目より大きいです。 もし白目と黒目の大きさが同じであると、収縮色の働きにより、黒目が白目より小 さく見えます。そのため黒目は、白目と同じ大きさに見せるように、 白目より大きくする必要があるのです。
また黒い服は収縮色なので、体を細く見せます。俗に言う着やせです。 魔女の宅急便でオソノさんが「黒は女を美しくするのよ。」という セリフもうなづけます。
着やせをするには、いくつかテクニックがあります。一つは暗い色を やせたい部位に使うことです。ふくらはぎが太いのが悩みなら、 黒くて長いズボンをはけば解決します。胸を大きく見せたければ、 膨張色を使えば良いのです。またボウやフリル付きのトップスも、 胸部が強調されるので効果的です。
次にvネックをトップスに使うと、縦のラインが 目立ち、やせているように見えます。またボーダーのトップスは、 横ラインにすると、横が強調され太っているように見えます。 縦ラインの方が良いです。更にラインが暗い色であるとなおベストです。
色は時間の流れを早く感じさせたり、遅く感じさせたりする 効果もあります。例えば、赤い部屋と青い部屋では、感じる時間の流れ が違うのです。
時間の流れを遅くするには寒色系 の壁が有効です。実験によると「寒色系の環境は1時間を40分程度 にしか感じられなくする。」といったデータが出たそうです。オフィスや 勉強部屋など、集中して物事を取り組みたいときには、最適な環境です。
時間の流れを早くするには暖色系 の壁が有効です。「20分しか経っていないけど、30分経った感じがする。」 というほど、時間の流れを早く感じさせたりします。これの応用がファーストフード店です。 壁が暖色系ですね。これは食欲を増進させ、たくさん買わせるといった 狙いもありますが、客の回転率を上げようとする狙いも在るようです。
ちなみに結婚式会場の赤いじゅうたんも、カップル&家族を一刻も 早く会場から追い出すためにあるものです。原理はファーストフード店と 同じです。なぜこうしなければならないかというと、大安は結婚式会場 は満杯で、スタッフはかなりのハードスケジュールになります。カップルは のんびり過ごしたいと思っていても、スタッフにとっては、とっとと 終わってくれよと思っているからです。
暖色系→食欲増進、興奮する→時間が長く経ったように 感じる→早く出る。→回転率アップ!!
私たちは、色から様々な連想をし、それらが色のイメージを作っ ている要因のひとつになっています。例えば、あざやかな赤は、 火や血,熱などを連想し、興奮するイメージや 熱いイメージを作っていると思われます。
色を見る→何かを連想する→色のイメージが作り出される。
色の連想は、地域差,年齢差,性別差,環境などによって 異なることがあります。人によって差が在るのは当然ですが、 同一人物でもその時の気分や環境によってイメージが変わるこ とがあります。
例えば太陽は日本では赤で書くことが多いけど、アメリカでは黄 色で書くことが多いです。むしろ太陽を赤で書く国は、 そんなに多くありません。
連想は具体的連想と抽象的連想の二つに分類できます。 具体的連想とは「赤と言ったら、りんご」のように具体的なものを連想する ことです。抽象的連想とは「青と言ったら、冷静」のように抽象的なものを 連想することです。
SEO | [PR] おまとめローン 花 冷え性対策 坂本龍馬 | 動画掲示板 レンタルサーバー SEO | |