5 色名

みなさん色の名前はどのくらい知っているでしょうか? 色の名前を知ることは、色を勉強する上で非常に役に立 つことです。なぜなら色の語彙が確実に増え、イメージの幅が 間違いなく広がるからです。色の名前を知って、また色を 眺めると、また違った表情が見えてくるかもしれません。

日本でも古くから使われている色名が沢山あり、 現在でも浴衣や和装小物などで使われることがあります。 これらの色名は非常に美しい響きを持っているものも沢山あり、 昔の人の感性や文化の一部をかいま見ることができます。

ここでは様々な色名の由来を紹介します。

鴇色(ときいろ)
 鳥のトキが空を飛ぶときに見せる風切羽の色です。トキの異名として、 朱鷺(とき,しゅろ)、桃花鳥(とき)があります。夕方に空を飛んでいる 朱鷺の群れは、きっと「朱の道」みたいで美しかったのでしょう。もうそん な姿を見ることはほぼ不可能であるが・・・。ちなみに昔は日本各地で 見ることができました。

カーマイン 
 中南米のサボテンに寄生するエンジ虫から採った染料(コチニールという) で染めた鮮やかな赤です。現在でも口紅や食品の色素として使 われています。臙脂色とも呼ばれます。

茜色(あかねいろ)
 茜草の根から抽出した色素で染めた色です。日本で最も古い赤色の染料 であったそうです。赤に染める天然染料は他に、蘇芳(すおう)や紅花など があります。ただし茜染めはかなり難しかったようです。

蘇芳色(すおういろ)
 蘇芳の心材で染めた色です。くすんだ赤紫です。蘇芳はインドやマ レーシア原産のマメ科の植物です。

ワインレッド
 赤ワインのような深みのある赤です。ワインレッドをさらに暗くした色を ボルドーと言います。

マゼンタ
 マゼンタはイタリアにある小さな町の名前です。1859年に、 イタリアは当時イタリアを支配していたオーストリア軍と戦い、 「マゼンタの戦い」で勝利しました。そのころ合成染料の「フクシン」が発明され、 この染料が染め出す鮮やかな赤紫を「マゼンタ」と名づけたのです。

黄丹(おうに)
 皇太子の礼服の色であり、昔は一般の着用が禁止されていました。禁止されて 色のことを「禁色(きんじき)」と言います。逆に誰が着てもokであった色を、 「許色(ゆるしいろ)」と言います。奈良時代からあった古い色名です。

ちなみに「丹」という漢字は、「赤色、朱色」という意味があります。 「アッカンベー」「赤貧」「赤点」など、「赤」は物事を強調するときに 使われることがあります。「丹」も薬の名前で「○○丹」と使われる ことがあります。薬の効き目を、「丹」という漢字によって、 アピールしていると言えます。

柿色
 その名のとおり、柿の実のような色です。照柿色と呼ぶこともあります。 歌舞伎界で「柿色」と呼ばれるのは、茶系統の色で、この色とは異なります。

肌色
 肌の色から付けられた色です。実際にはこんな肌の人はいなく、理想化された 肌の色です。日本人の理想の肌の色は、実際の肌色より、高明度・低彩度であると 言われています。ちなみに肌色は、昔は「肉色(にくいろ)」「宍色( ししいろ)」と呼ばれていました。

小麦色
 小麦の籾の色から付けられた色名です。日焼けした肌を小麦色と呼ぶ ことがしばしばあります。

団十郎茶(だんじゅうろうちゃ)
 歌舞伎役者での市川団十郎が代々、衣装に用いた色です。歌舞伎役者に関する 色は非常に多く、他にも「岩井茶(いわいちゃ)」「路考茶(ろこうちゃ)」 「璃寛茶(りかんちゃ)」などがあります。

ベージュ
 ベージュはフランス語で、未染色の羊の毛を意味します。現在は薄い茶色の 総称をベージュと呼んでいて、非常に一般的な色名になっています。ちなみに ルージュはフランス語で「赤」を意味します。

鳶色(とびいろ)
 トビの羽の色から付けられた色です。瞳の色が茶色のことを、 「鳶色の瞳」と言う事があります。

支子色
 クチナシの実で染めた赤っぽい黄色です。梔子色とも書きます。「クチナシ」 という名前は、果実が熟しても口を開かないところから来ています。 栗きんとんの天然色素として今でも使われています。

山吹色
 平安時代から使われていた、黄色の代表的な色名です。山吹の花から付けられた 色名で、赤みの黄色です。山吹という名前は、大判や小判の名前としても 使われていました。

刈安色(かりやすいろ)
 ススキに似ている刈安という植物から染めた鮮やかな黄色です。 「刈りやすい」ということに由来しています。八丈島の名物である 「黄八丈」の黄色は、刈安と同じ色素を含む「こぶな草」で染められ ています。「こぶな草」は「八丈刈安」と呼ばれています。

カーキー
 カーキーはインドでは「土ぼこり」を意味します。19世紀に インド駐留中のイギリス軍が軍服の色として用いてから、広く軍服の 色として取り入れられました。今では、くすんだ緑もカーキーと呼ばれることが あり、カーキーの色の幅は非常に広いです。

オリーブ
 オリーブの実のような暗い黄色を指します。暗い黄緑だとオリーブグリーンと 呼ばれます。

萌黄
 春に出るような若葉のような鮮やかな黄緑を萌黄色と言います。 「萌葱」「萌木」とも表記します。

鶯色(うぐいすいろ)
 ウグイスの羽のようなくすんだ黄緑です。

エメラルドグリーン
 宝石のエメラルドからとった色。エメラルドは五月の誕生石です。 (自分の誕生日だから一応知っている。俺の誕生日は5月8日だ。)

青磁色
 青磁は、青緑色のうわぐすりのかかった磁気の一種です。やわらかい 青みの緑を指します。

ビリジアン
 ビリヤード台に貼られたフェルトの色から付けられたい色名です。 ビリヤードは冷静さが重要なスポーツなので、フェルトの色は鎮静効果のある 緑が選ばれました。麻雀のマットが緑なのも同じ理由です。

新橋色
 明治〜大正時代に、新橋の芸者さんの間で流行した色から名づ けられた色名です。金春色(こんぱるいろ)とも呼ばれます。 当時この色は、西洋から輸入された化学染料 によって染められました。日本では、江戸時代までシアン系の色は あまりなくて、この色が入ったときはかなり新鮮に感じたようです。

瓶覗(かめのぞき)
 藍染は、染液につける回数が多ければ多いほど、濃く染まります。 瓶覗は、「染液が入っているビンを少しのぞく程度」「布に浸した くらい」という意味です。かなり薄い色といえます。覗色、秘色(ひそく) と呼ばれることもあります。藍染は、染め色が濃くなるにつれて、 瓶覗→浅葱色→花田色→藍色→紺色と呼ばれます。

藍色
 タデアイで染めた色です。藍染は繊維を選ばず、麻や木綿にも 良く染まります。退色しにくいメリットもあります。

江戸紫
 武蔵野に生えている紫草を原料として、江戸で染めたところから こう呼ばれています。江戸紫は青みの紫ですが、反対に赤みが強い紫 を「京紫」と呼びます。

二藍
 二種類の藍で染めた色です。「藍」はもともと染料を意味する言葉で、 紅花と藍の二種類の染料を用いたので、二藍と呼ばれました。紅花は、 「呉の国(中国)から来た藍(染料)」という意味で、古くは 「くれのあい」と呼ばれていたが、それがなまって「くれない」 と呼ばれるようになったのです。

ラベンダー
 ラベンダーの花の色から来た色名です。トーンはあかるい灰みで、 色相は青みの紫です。ラベンダーはしそ科の植物で、 香水の原料として使われます。ラベンダーはラテン語で「洗う」を意味します。 昔、水浴の際に香料が用いられ、その代表がラベンダーであったのです。

モーブ
 モーブはフランス語で「アオイ」を意味します。1856年にイギリスの 化学者パーキンが、コールタールからマラリアの特効薬を作りだす実験 中に、偶然発見した物質を使って、史上初の合成染料(紫色)を作りました。 この紫の合成染料をパーキンは、モーブと名づけたのです。

鉛白(えんぱく)
 鉛白は塩基性炭酸鉛を成分とする白色顔料です。昔は白粉に使われてい ましたが、人体に有毒なため、現在は使われていません。


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