むすび

今まで書いたことは、生活の中で使えそうなことに焦点を絞って書きました。 難しい科学や人名、色相環を用いた配色などは徹底的に避けて、簡単に学べる ように配慮しました。普段の生活ではこれだけ知識があれば十分です。ここでちょっと 今までやったことを振り返って見ましょう。

まず始めに色を整理する事から始めました。無限大に近い色を上手に扱 うには、色を整理した方が扱いやすくなります。有彩色と無彩色に分類できること、 色には明度,彩度,色相の三属性があることを学びました。色相環やトーンについても 取り上げました。

色のしくみを学んだ後は、色のイメージについて学びました。色は人に 様々なイメージを与えます。また色の見え方では、同じ色でも周りの色によって 違う色に見えることを知りました。どちらも色を扱うに当たって非常に重要な 事項です。色のイメージを知ると、様々なシーンで、どんな色が効果的で あるかが予測できます。例えばプレゼンでやる気を見せたいときは、 赤の小物を付けると効果的です。なぜなら赤は情熱のイメージを与えるからです。 黒は収縮して見える色です。そのため自分を細く見せたいときは、黒のドレスを 着ると良いです。色の見え方でも、肌を白く見せたいときは、暗い色の服を 着るとGOODです。なぜなら明度対比が起り、肌がより明るく見えるからです。

次に配色テクニック。様々な配色用語を紹介しました。これらの配色用語を 知っておくと、ファッションやインテリアの配色で大いに役に立ちます。 「床と壁の色はトーンオントーンで。」「今回は派手に行きたいから、 トリコロール配色にしよう。」といった感じで配色の計画をスムーズに 進行させることが出来ます。またこれらの用語を覚えると、 美しい配色を見たとき、言葉で表す手段が増えます。「類似」と「変化」 という言葉だけでも十分ですが語彙を増やすことは決して無駄なことで はありません。「流行色の製造プロセス」「環境と色彩」は色に関するトピックス として取り上げました。

美しい物を見たら、「どんな配色したいるかな。」と注意しましょう。 それを繰り返していくうちに、美しい配色のパターンが分かり、今後自分が 配色するとき、参考になるのです。

俺が色彩を勉強していると知ると、驚く方も少なくありま せん。「色って難しいですね。」という方もかなりいます。 俺は「一回お勉強になさったらいかがですか。様々な形 で役に立ちますよ。」と言うと、決まってみんなこんなセリ フを言います。

「俺はカラーセンスがなくてね。」

「生まれつきの色オンチなので。」

 カラーは思ったよりは難しくないはずです。それどころか色は非常に身近に あり、私たちの生活に大きく関わっています。難しく見えるのは、カラー知識が ないのと、色に対する注意力がちょっと足りないからです。特別なセンスがなければ、 色が扱えないと思い込んでいるからです。

色彩理論=デザイナーや画家が学ぶような特別な理論。それは錯覚です。 ちなみにレイアウトもそうです。このことをよく肝に銘じてください。

■ カラーコーディネーターになろう

カラーコーディネーターという職業があります。その名の通り カラーをコーディネートする人です。女性に人気で、とても華やかなイメージ があります。しかしカラーコーディネーターは、色の知識だけあれば、 良いってものではありません。美的センスがあれば良いってものではありませ ん。

色には様々な性質があります。物の違いを知らせたり、安全や危険を知らせたり、 ものを美しく見せたりなどなど、数え上げたらキリがありません。 色の性質を上手く利用して、美しい配色を提案するのも、カラーコ ーディネーターの仕事の一つです。しかし美しい配色以前に、まず対象とする 物の特徴を知ることが大切です。

例えばファッションは、色彩の知識だけではなく、服のシルエ ットやディテール、テキスタイルや素材の知識が欠かせません 。同じ色でも、繊維によって(例えば綿と麻)色の見え方が 全く違います。同一素材ですら、編み方や織り方が違うと、色のイメージが がらりと変わります。メイクも、ファンデーションやアイシャドーなどメ イク用品の知識、照明によってどのように肌の色が変わるかなど、 知らなければいけないことが山のようにあります。 エクステリアなら、材料や建築の知識、景観条例などを配慮しないと いけません。ホームページデザインなら、HTMLやスタイルシート、JAVA、 画像処理など、色以外の知識も必須です。

このように対象とするものの特徴を良く知らないと、満足なアドバイスは 望めません。むしろ色オンリーのカラコなんて、邪魔者と言われても、 文句は言えません。このようなカラーコーディネーターを、口の悪い人は 「カラーコーディねーちゃん」と言うことがあります。(一昔前はかなりあった。 そしてそれは今でもある。)美しい調和を求めるだけでなく、対象物の持っている 要素を理解し、その物の特性に即した色彩を施すことが求められます。

美しいだけを考えちゃいけない。そのものの状況を考えることが重要です。 これはプロの限らず、私たちにも十分当てはまります。例えば、美し いコーディネートがされているアンサンブルも、自分にとって、似合わない ことは良くあります。自分を良く見る必要があります。肌の色、目、顔立ち、 雰囲気などです。

■ むすび

いかがでしたか?ここまで読んでくださりありがとうございます。 「(色彩はセンスが良い人だけのものだ!」という誤解を解くのが、 このコーナーの目的の一つです。

ちなみに、このコーナーは、普通のカラーの本やサイトとは、 説明する項目の順番が違います。普通は「色とは何か?」という 題目で始まり、光の性質や目の性質、色覚、反射率などの話から入 ることが多いのです。

しかしこれらの内容は、俺のような理系なら、問題は少ないのですが、 カラーを始めた人で、これを見て挫折しそうになる人も決して 少なくないのです。それに生活とも直接関係ないから、割愛してもさして 問題ないと判断しました。

これらの内容は「中級編」に回します。「中級編」では生活に 直接関わるものもありますが、そうとは限らないものも含まれています。 でも大丈夫!ここまでカラーに注意できるあなたなら、多少難しいことも 、メではないはずです。

少しでも色が身近なものであると感じれれば、幸いです。 それではぜひカラーの知識を生かして、生活に彩りを添えてください。


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