流行色

「今年の春夏の流行色は緑。」と言うように、「流行色」という 言葉は非常に有名です。本来、流行色はその時代を生きる人々の 心によって、自然に作り出されたものです。しかし私たちが普段言っている 「流行色」は「人工的に作られる」のです。アパレル業界を中心とする経済 活動を活性化させるために、人為的に作られたのが、今私たちが言う 流行色なのです。

このセクションでは、「流行色は作られる。」ことを踏まえたうえで、 流行色の製造プロセスを見ます。

■ 流行色の製造プロセス

2年前

日本、イギリス、フランス、イタリア、中国、韓国など世界各国から、 流行色の専門機関が集まり(この委員会をインターカラーという)、 二年後に流行させたい色を決定します。1月と7月の年二回開かれます。 日本からはJAFCA(ジャフカ)が参加します。ちなみにアメリカは参加していません。

JAFCAは「Japan Fashion color Association」の略語で、日本流行色 協会のことです。

1年半〜1年前

インターカラーを参考に、各国の民間団体やカラー情報機関が、 実シーズンに流行しそうな色を予測し、色彩情報を提供します。 またこのときは、素材のトレンドも発表される ので、世界各地で素材展が開催されます。特にパリの「プルミエールビジョン 」は規模が大きく有名です。また服地オンリーではなく、ヤーン(糸)の 展示もあります。

日本ではJAFCAアドバンスカラーやJAFCAファッションカラーなどが 、日本向けにアレンジされた流行色情報を発信しています。

JAFCAアドバンスカラー:インターカラーの情報を参考に、 日本風にアレンジされたカラー情報を発表する。

JAFCAファッションカラー:アドバンスカラーの発表の半年後に、布 をサンプルにして発表される流行色情報。色だけでなく、素材の要素も 入っているのがポイント。

1年〜半年前

日本の合繊メーカーもトレンドを発表し、各社ごとに 自社の事情を加味したカラーサンプルが作成されます。 また、JAFCAアセンディングカラーが発表されます。

JAFCAアセンディングカラー:JAFCAアップトレンドカラーとも 呼ぶ。アドバンスカラーの軌道修正版。

半年前〜実シーズン

この頃にはアパレル展示会やファッションショーが 行われます。テレビやファッション雑誌を通じて、一般の人も こんな色が流行るのと意識し始めます。


こうしてみると流行色がいかに作られているかが分かります。 インターカラーの情報を参考に、JAFCAが将来流行しそうなカラーを 予測し発表されたのが、私たちが良く目にするファッション雑誌なの です。それではなぜこのような予測をする必要があるのでしょうか。

「流行色」という指針がなければ、アパレル業界にとって どんな色のアイテムが流行するのか見当がつきません。大量に見込んで 生産しても、予想が外れれば在庫の山になってしまいます。 そのような悲劇を避けるために、様々なデータをもとに流行色 をあらかじめ予測するのです。

しかし流行を決めるのは私たち消費者です。時代の雰囲気や 消費者の心理などにピッタリ当てはまる色が、自然に流行色として 選ばれます。流行色協会が発表する流行色は、一種の天気予報です。 天気予報と同じように「当たるも八卦当たらぬも八卦」なのです。

だが、天気予報と流行色予報は性質が全然違います。なぜなら流行色 予報はマスコミが深く関わるからです。マスコミを通して、テレビや 雑誌で盛んに宣伝され、デザイナーやブランドも流行色を採り入れ、デパートや ブティックなどでは流行色の服で固められます。(自分のブランドカラー をポリシーにするブランドは除く。)

私たちはその中から、服を選ばなければなりません。もちろん流行色 以外の服もその気になれば買えます。しかし人によっては、 「みんなに置いて行かれたくない」「みんなと同じがいい」という心理が働き、 好む好まざるとに関わらず、流行色の服を買ってしまうこともあるのです。

つまり「流行色」という指針があると、マスコミが宣伝してくれるおかげで 、宣伝にも費用がかからないし、在庫のリスクも激減します。悪い言い方を すれば、私たちもマスコミの情報につられて買ってしまう可能性もあるのです。流行色予報は 当たればもちろん御の字であるが、仮にはずれてもマスコミの力によって、 ファッション業界はまずまずの利益が得られるのです。(特に日本ではこのことがいえるかも しれない。)

これでは流行色は、私たちのためにあると言うよりは、ファッション業界&マスコミの ためにあると言わざるを得ません。「今年の夏の色は、去年の夏の色とコーディネート しにくくする。」、ファッション業界が、そういう「流行色」の出し方をして いるのも事実です。★

★『貞子ネルソン/新カラーコーディネート術/現代書林』による

一昔前は「サイケデリックカラー」や「カラス族」のような 極端な流行がありました。しかし最近は「自分らしさ」が見直され、 極端な流行は見られなくなりました。『流行色より似合う色を』 このようなことが背景に、パーソナルカラーという肌の色や髪の色、その人の顔立ち などによって、似合う色を割り出すコンサルタントも少しづつではありますが 広まっています。

■ 意見

流行色についてかなり悪く書きました。しかしこのような面があるのも事実です。 なんだかんだ言っても流行色は、自然的に作られようが、人工的に作られようが、 その時代の雰囲気を表すことだけは間違いありません。それらの色を上手に取り入 れるのはとても良いことであると思います。

しかし流行色の言いなりになって、 着せ替え人形のように色をとっかえるのは、垢抜けているどころか、 全然かっこよくないと考えています。雰囲気に流されるだけではダメです。やはり 自分をもっと見たほうが良いと思います。

例えば『キムタクがこの色の服を着ているから俺も』と思ったとき、安易にマネ をせずに、冷静になってください。キムタクに似合うものが、あなたに似合う とは限りません。同じコーディネートでも、Aには似合うけどBには似合わないということは 良くあります。ですからファッション雑誌や芸能人のスタイルは、参考程度に とどめた方が良いです。

流行色もそうです。自分が似合う色のときもあれば、しっくりこない色のときも あるはずです。似合う色なら積極的に取り入れても問題ありませんが、 似合わないときでどうしても流行色を取り入れたい場合、小物などアクセントとして 部分的に使うとか、同じ色でもトーンや色相をずらすとか、様々な方法があります。 ただ単に流行っているから着ると言う考えは危険です。「自分のポリシーを持ち、 そのなかで流行を取り入れる。」そういった考えが重要であると私は思います。


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