寒色系と中性色

色彩を知るようになると、色彩用語の使い方に突っ込みを 入れたいときがある。正直言うと、かなり間違った使い方をしている本 もある。よく間違った使い方をする用語として「暖色、寒色、中性色」がある。 「そんなの簡単ではないか?暖色は暖かいと感じる色、寒色は冷たいと感じる 色じゃないか。」と言い返されることがあるだろう。

あるメイクの本でこう書かれていた。

「それではみなさんアイシャドウを上手に使うために、色彩心理を勉強しましょう。 まず色には、暖色と寒色があります。暖色は赤,オレンジ,黄色のように暖かいと感じる色 であり、寒色は青、緑、紫のように寒いと感じる色ですね。」

たしかに青は寒色系と捉えてもそんなに問題はない。 しかし緑と紫を寒色系と捉えるのはかなり危険である。

実は「緑」というのは、他の色相に比べて、色相の幅が非常に広い。 普通の緑もあるし、黄色に近い黄緑や青色に近い青緑まで、 さまざまである。寒色系と捉えても問題ない緑と、”これはちょっと寒色系じゃ ないー”と感じる緑もある。

これは青緑の例である。

青緑は青と緑の絵の具を混色すればできる。青(寒色系)の要素が入っている 緑ともいえる。この色なら寒色系と捉えても大丈夫であろう。しかし青に比べて、 寒いと感じる程度は小さいと思われる。

日本人は、青と緑を区別しないことが度々ある。たとえば「青々としている山」 は決して青ではないし、信号の青も昔は緑色のランプであった(最近では青っぽいのが 主流だけどね。)。実際には緑色のランプにもかかわらず、俺たちは信号を 「青」と言っているのである。ひょっとすると、これらを背景に、「緑も寒色系だ!!」と 考える風潮が生まれたかもしれない。しかし緑は青緑だけではない。

たとえばこんな緑もある。

俺たちが緑と聞いたら、おそらくこのような緑をイメージする であろう。しかしこの緑は寒色系であろうか?寒いとイメージするであろうか? そう捉えるのはかなりきつい。

これはどうであろうか?

黄緑に近い緑である。この緑だと寒いと感じるのは かなり難しいはずだ。(少なくても青緑や青と比べたら)色彩関連のプロが、 緑を寒色系だと捉えるのはかなり乱暴である。(もちろん暖色と寒色の二つに分けるほうが 都合がいい場合はまったく別である。そのときは黄緑系は暖色、青緑系は寒色に入れたほうが いいかもしれない。)

緑を寒色系と捉えるのはちょっと危険ではないだろうか? 厳密に言うと、寒色系と捉えてもいい場合と悪い場合がある。青緑なら寒色系と 見ても問題ないが、黄緑系の緑は寒色系というよりは暖色系に近い かも知れない。

また紫は結構難しい。青紫なら寒色のイメージがしやすいが、赤紫は寒色をイメージしにくい。 普通の紫(赤紫と青紫の中間)はかなり微妙。色彩学では普通の紫は中性色と捉えれている。

SEO [PR] おまとめローン 冷え性対策 坂本龍馬 動画掲示板 レンタルサーバー SEO