肌色の概要

ファッションコーディネートを考えるとき、肌の色を無視することは できません。これは私たちの生活でも、感じている場面はたくさんある はずです。例えば、日焼けする前は似合っていたはずの洋服が、肌が黒 くなったときに着ると、不自然に見えるケース(服が浮いて見えたり、 肌が浮いて見えたり)があります。ましてメイクは肌そのものに色を 施す行為なので、肌の色を無視したメイクは絶対に考えられません。

人間の皮膚の表面積は成人で平均16000cm2もあり、ちょうどた たみ一畳と同じ面積です。皮膚を彩る色が肌色であり、人の体の 色で最も多く持っている色とも言えます。そして私たちはいつも この色に振り回わされながら生活しています。例えば・・・

・ 肌をきれいにするために非常に高価な化粧品を購入する。
・ 写真の肌色がきれいに見えるまで色を修正する。(デジカメなどで)
・ 肌の色が違うだけで差別する。

など数え上げたらきりがありません。

ここでは肌色を科学的な視点で解説します。

■ 肌色のメカニズム

肌色を構成している色素は主にメラニンとヘモグロビンです 。(他にカロチンがあるが寄与率は小さい。)メラニンは、毛髪 や虹彩に含まれている黒褐色の色素であり、ヘモグロビンは血液 の色の元になっている深赤色の色素です。この二つの色素の観 察量によって、肌の色がほぼ決定されます。メラニンの量が多 くなると、肌色は黒くなり、ヘモグロビ ンが多く観察されると肌は赤っぽくなります。

肌色の変化

肌色を決定するのは上の二種の色素量であるが、生まれ 持った肌色が一生変化しないわけではありません。さまざ まな要因が、二種の色素量を変化させ、肌色を変えていきます。

メラニン:

メラニンは黒褐色の色素であり、紫外線を含む短波長の光 を吸収し、肌を守る役目を果たしています。紫外線の多い地 域に住む人、多く浴びる生活をしている人はメラニンが多い です。皮膚が紫外線を浴びると、メラニンの生成が活発化し て、やがてメラニンは皮膚上層に押し上げられ、「あか」とな って排出されます。

しかし中にはメラニンを生成しまくる細胞 があったり、メラニンの排出が遅れてしまうケースもあります。 このようなことが起こると、肌の一部にメラニンが溜まります。こ れが俗に言う「しみ」「そばかす」です。

メラニン量は、加齢と共に増えると考えられがちですが、 実際には紫外線が大きく関与しています。日々の紫外線による 、肌のダメージが積み重なって、しみやそばかすが加齢と共 に増加するのです。(つまり加齢が原因でなく、 紫外線の浴びすぎが原因である。だけど年を重ねると 、紫外線を浴びる量は必然的に多くなる。しかし紫外線対策を ちゃんとしていれば、加齢してもメラニン量を抑えることは 不可能ではない。)

ちなみにメラニンには、ユウメラニン(黒色)とフェオメラニン (赤色、黄色)の二種類があります。髪の黒はメラニンであるが、 日本人の髪は黒いのでユウメラニンが多くて、逆に金髪はユウメラニンが 少ないともいえます。

ヘモグロビン:

ヘモグロビンは血液の赤い色素であり、肌表面に見えれば見 えるほど、赤っぽい肌になります。ヘモグロビンの観察量 は、血液の流れに依存するため、興奮といっ た心理変化や天気,気温,飲酒,摩擦などの要因によって刻々 と変化します。そのため洗顔直後や飲酒時,極端な興奮状態で は、ヘモグロビン量が大きく変化するため、肌色の観察や評価 には不適です。

この二種の色素に加えて、肌の半透明な組織による光の透過 ・散乱が合わさって私たちが見ている肌色になるのです。

■ 肌色を測ることの難しさ

肌色の客観的な評価には、色彩計を用いた肌色の測定が非常に有効 です。最近では化粧品の販売店において、ファンデーションの色選び や美白化粧品の効果を確認するために、肌色測定が行われることも 多く、機械による肌色の測定は身近なものになりつつあります。

しかし肌色の測定は非常に難しいです。それは以下の理由によります。

1. 自分も相手も生き物である

測定者も被測定者も人間である以上、肌の色をストップさせること は不可能。ヘモグロビン量は刻々と変化する。

2. 曲面である

肌は曲面であるため、色彩計と肌を密着させるのが難しく、 光漏れが起こりやすい。そのため肌の測定が不正確になる。

3. しみやそばかすなどの色むら

しみやそばかすなど、肌は均一な色でないため、測定場所がち ょっとずれただけで、値が大きく変わる。

4. 変形しやすい(やわらかい)

測定器を肌に押し付けると、肌は簡単に変形して、鬱血(う っけつ)をおこして色が変化してしまう。

5 .半透明である(⇔違う色彩計の測定結果と比較できない。)

皮膚は半透明であるため、色彩計により照射された光が 、肌の内部を透過して周囲に広がります。とりわけ長波長 の光は、肌を透過しやすい性質を持ち、長い距離を伝播する 特徴があります。(例えば、白い光の懐中電灯を皮膚に密着 させると、その周辺が赤く光る現象がある。)測定面積 に対して、照明面積が大きいと、測定エリアの外か ら伝播してくる長波長の光が多くなり、赤みよりの結果にな ってしまう。

結果的には、色彩計の機種が違う(照射面積や測定面積が違うと) と、測定結果が異なるという厄介なことになってしまいます。そのため新しい 機種ができたからって、乗り換えることことは難しいです。

■ ファンデーションの確認(超重要)

ファンデーションの色が自分の素肌にあっているか確認 するとき、手の甲を使って確認している方が多いが、それ は失敗する要因になります。なぜなら手の甲の肌色は、比 較的明度が小さいからです。ファンデーションの確認は「ほ お」で行うべきです。この部分はしみやそばかすができにく く、赤みも少ないのです。

■ 肌色の特異性(重要)

1.記憶色

青空,りんごなど、私たちにとって身近なものは記憶されてお り、名前を聞くだけで、だいたいどんな色かを想像できます。 特定の物体や物事と結びついて、私たちの頭の中で記憶され ている色のことを記憶色(メモリーカラー)といいます。し かし人間の記憶はいいかげんなもので、記憶色と実物の色は 一致しないことが多いです。(色に限らず、昔の思い出を美化することは結構 よくあることだ。)一般に記憶色は、実物の色より高彩度です。

バートルソンは物の名前を提示して、その色を最もよく あらわしている色票を選ぶという手法で、記憶色を調べ ました。その結果、記憶色は実物の色より彩度が高い色と いう結果になりました。しかし肌色だけは、傾向が逆であり、記憶色の方 が彩度が小さい傾向になりました。これは私たちが肌色と 聞いて思い浮かぶ色は、実際の平均的な肌色より「うすい色」 になっていることを表しています。

つまり私たちは実際の色を無意識のうちに美化してい るのです。(女性の)肌色は、一般的に明るい色(白色 )の方が好まれるので、記憶色の彩度は小さいと考えられ ます。(もし彩度が大きいと色みが目立ってしまう。)

2.くすみ

肌色に関する悩みで「くすみ」があります。通常ものに対 して、「くすんだ色」と言うと彩度が小さい色を指します。 しかし「肌のくすみ」は、色みが強い状態を指し、通常の 物体とはあべこべです。ここにも肌の特異性が見られます。

さてそれでは、手の肌が黄色っぽくて(くすんで)悩んでい る人がいるとします。そのとき、どのようなネイルカラーを選ぶと 良いでしょうか?

答えは濃い色や鮮やかな色を選ぶと良いです。ワインレッドは超お勧めです。 逆に彩度が小さい色を選ぶときは注意が必要です。

それではなぜ彩度が小さい色(地味な色)は駄目なのでしょう?色彩学的に 説明してください。

解答:
 ネイルに低彩度の色を施すと、彩度対比が起こり、 肌のくすみが強調されるため。(⇔彩度対比により、くすみ部分の色の彩度が、 通常よりも大きく見えるため。)

ちなみに、ネイルに高彩度の色を施すと、高彩度の色のおかげで、 肌のくすみが目立たなくなります。(彩度対比を知っていれば分かるはず。) このとき同じ高彩度の色でも、誘目性の高い色を選ぶと、もっとくすみを 隠すことができる。目立つ色のネイルにすると、周りの人は、ネイルばかり を見てしまい、肌を見るのがおろそかになります。(⇔相手を「木を見て森を 見ず」状態にさせる。木=ネイル、森=肌のくすみ)

誘目性が高い色の代表選手は鮮やかな赤やオレンジであるが、派手すぎる色が いやな場合は、上品なイメージがあり、彩度の結構大きいワインレッドが良いでしょう。 自分の好みに応じて、臨機応変に変化させてくださいね。

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