「見た目も味のうち」と言います。ダイニングは味だけでなく、色も非常に重要です。 すごくおいしい米である魚沼産ササニシキも、青の食紅で青くしたら、 おいしくは見えません。ここではおいしそうに見える色使いに関 して検証します。
まず食べ物の色について検証してみましょう。スーパーに行ってみてください。 そして食材を見てください。どんな色の食材が多いですか?まずは赤〜黄色の暖色系 の食材が圧倒的に多いです。次に野菜の色も見逃せません。黄緑から緑の食材もけっこう あります。あとは茶色やベージュや白なんかもあります。ここで食材でめったに無い色は、 青や紫です。紫の食材といったら、なすびかぶどうか紫キャベツ くらいのものです。青においては、鯖の皮かアマエビの卵くら いしか思いつきません。
食材の色の殆どは、色みが「赤・オレンジ・黄・黄緑・緑」です。 (ちなみに茶色やベージュの色相はオレンジ。)「青・紫」は 簡単に見つかりません。つまり私たちは「食べ物といったら赤〜緑がおなじみだ。」 と無意識のうちに考えています。逆に言うと「青や紫」は、食べ物のイメージとしては ピンとこない色であり、なじみが薄いです。「青い米」や「青いソースが かかったハンバーグ」なんて見ると、奇異さを感じてしまい、食べられない人も いるかもしれません。(まぁ紫の米なら、ゆかりご飯があるからまだ大丈夫か。)
食べ物の色の特徴が分かったら、次はおいしそうに見える色使いを 考えましょう。
1.反対色をうまく生かす
食べ物をおいしく見せるには、料理を引き立たたせること が重要です。食べ物の色は「赤−オレンジ−黄−黄緑−緑」 が多いです。また赤と緑は反対色の関係であり、反対色の組み合わ せは、お互いの色を目立たせる効果があります。
寿司は、海老やマグロ,いくら,トビコ,すじこなど、 赤系のネタが多いです。そこで緑のバレンを寿司に添えると、 赤みが引き立ちおいしそうに見えます。他にスパゲティーナ ポリタンを食べるときは、緑や青の模様があるお皿を使うと、 「おいしそう度」がアップします。
単調な配色の料理も、ちょっと反対色を加えれば、ぐっと 引き立ちます。例えばグリーンサラダの場合、アクセントであ るミニトマトを加えると効果的です。グリーンだけよりは、 おいしそうに見えますね。お弁当でも、ミニトマトや梅干やア スパラは、アクセントに使えるアイテムですね。
和食の例。普通の海老てんぷらのそばです。三つ 葉の緑が重要なアクセントであることが分かりますね。
次は洋食の例。色とりどりの食材が食材がそろっていますね。 野菜の緑がキーポイントであることが分かります。もし緑がまったく入っていないと、 ちょっとさびしいです。食品の色の数が多ければ多いほど 賑やかなイメージになり、色数が少ないと静かなイメージになります。
ワインも色が変わるだけで、食事のイメージが変わります。赤ワインなら高級、上品、 深いイメージ、白ワインならすっきりしたイメージが出せますね。
最後に中華の例です。ごく普通の春巻きであるが、緑のパセリが効いています。 また食器の色もほぼ反対色である青緑を使っていますね。「青緑−青−紫」の食材は、 滅多にありませんが、食器なら結構あります。これらの色も暖色系を引き立たせる効果が あるので、利用してみましょう。
「料理に反対色を加えられない場合、どうすればいいの?」と聞く方も いるかもしれないので、ここで答えます。例えばうな丼は、サンショウを加える以外、 トッピングするのは難しいです。まさか豆やきゅうりを、うな丼自体に加えるわけには 行きません。こんなときは付け合せを考えましょう。味噌汁や漬物に緑を取り入れるのです。 または緑色が入っている食器を使う手もあります。
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2.料理と同じものを濃淡で使う
同じ色みの濃淡を使うと上品でしっとりしたイメージになります。例えば 肉じゃがを食べるとき、こげ茶や薄い茶色,ベージュなどの食器に盛ると 効果的です。
3.料理の中から1つの色を取り出して使う
サラダなどマルチカラーの料理を出す場合は、その中のポイントとなる色を 食器に使う方法があります。たとえばレタス+トマト+きゅうりのサラダなら、グリーンが入っている 食器がいいです。また自然をイメージさせる、茶色やコルク色のボウルを使うのもgood 。
4.黒の食器を使う
無彩色の食器を使ってみるのも良い手です。無彩色は「単調な色」「 味気が無い色」と感じるかもしれないが、「単調な色」であるからこそ、 食材のひきたて役になります。テーブルコーディネートのとき、 シックですっきりしたイメージを出したいと思ったら、無彩色の食器 やテーブルクロスを使うと良いかもしれません。
黒の食器は、食材の色を引き立てる効果が白より強いので、料理を 高級そうに見せたいときには、超オススメです。 例えば寿司の種は、漆黒の器に盛られると最も色みが増し、 鮮度が高いように見えます。また洋服の生地をほぐすと、黒糸が 混じっていることがあります。黒糸が色糸の発色を良く しているのです。このように黒は、色みをプラスする効果 があります。
逆に軽やかさやさっぱり感を出したいなら、白の食器が良いです。 灰色は中間的なイメージがあるので、使うときは慎重になりましょう。 下手すると料理がぼやけて見える恐れがあります。
5.暖色系の食器を使うとなじみがよくなる
食べ物の色みが「赤〜緑」であることを知れば、食器の色も「赤〜緑」の色を 使えばなじみが良くなります。これは覚えておいても損は無いでしょう。またダ イニングルームの色も暖色系を中心にコーディネートすると、「おなじみ感」が 強くなります。
しかし食器やダイニングルームに寒色系を使ってはいけないかというと、 そうとは限りません!!
あるテレビ番組で、キッチンのカラーコーディネートをする番組があって、 カラーコーディネーターが「食器は暖色系!!」と言ったが、 奥さんが「寒色系だって使えるんじゃない。」と言っても、カラーコーディネーターは 「暖色系の方が良い」との一点張り。
これは奥さんの方が正しいです。確かに食材は暖色系+緑が中心で、寒色 系の色はあまりありません。そのため私たちは、暖色系+緑の方が、寒色系より 、食べ物のイメージをします。だから「青色の米」はとても食べる気が起きません。
しかし食器の場合は別です。食器は食べるための道具であるが、直接食べるも のではないからです。青は、反対色である黄色やオレンジを引き立たせる効 果があります。それによって食べ物がおいしく見えます。(食べ物は暖色系が多いからね。) 食材の法則を、食器にそのまま当てはめることはできません。食べると食べないの差は かなり大きいです。
例えばこの写真。
「食器が青であるせいで、まずそうに見えて食えない!!」 って人はまずいないでしょう。(そんな奴がいたら見てみたい。) ただパスタや納豆自体が青色であったら、引く人はいるかもしれません。 青の食器は、パスタの色を引きたたせる効果があります。食材に 青が不向きだからって、食器やテーブルクロスは「青はダメ」かというと、 そんなことはありません。
食べ物でも、青を使う例として、カキ氷のハワインアンブルーがあります。 青は寒色系なので、涼しいイメージがあり、暑い夏にはうってつけの色です。 涼しいイメージやさわやかなイメージを出すのに、スポートドリンクやアイスの パッケージには青がよく使われます。青も場合によっては、結構使える色 ともいえますね。
なかなかダイエットに成功しない人は、ダイエットに色を取り入れると 少しは効果があるかもしれません。
1.満腹感がある色を使う
ダイエットは、食べ過ぎるとなかなか成功しません。そこで少しでも 満腹感がある色の食材を、食べると良いです。満足感が得やすい食材は、 黒や茶色のようなどっしりとした色です。無意識に少ない量で、「沢山食べたな」 と思わせる効果があります。
ゴマを使うときも、白ゴマよりは黒ゴマの方がいいです。 食パンに塗るものも、バターよりはゴマペーストの方が良いですね。 シチューよりはビーフシチュー、白いご飯より炊き込みご飯など 色々考えられますね。
2.食欲をそそらない色を使う
黒やグレーなどの地味な色、青や紫など食材になじみが無い色を 使うと、食欲が減退します。しかしこれをやりすぎると、ストレスがたまったり、 食欲が爆発したりなどの可能性もあるので、注意する必要があります。
3.明るい色の食器を使う
食器の色も重要です。オレンジや赤で描かれている絵皿を使うと、 気分が高揚し、多少薄い味付けでも満足します。色彩心理を利用する パターンです。
また高級感がある食器を使うのも良い方法です。 ぜいたくな気持ちになり、自然とゆっくり食べるので、少量でも 満腹感が得られるのです。
味覚と色彩とは密接な関係があるそうです。ここでは様々な味覚をあらわす色を 紹介します。生涯学習社の「色彩検定1級2次問題集」を参考にしました。
辛い
甘い
すっぱい
しょっぱい
さっぱり
こってり
味覚とカラーイメージを知っていると、料理だけでなく、 テーブルコーディネートや食品のパッケージのデザインなど、 にも使えます。例えば「辛さを売りにしたカレー」のパッケージを 考える場合、辛いと感じる色をメインに使うと、「このカレーは辛いんだ」 というメッセージをみんなに伝えやすくなります。お客さんにとっ ても分かりやすいです。
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