ヘアカラーの成分と特性

ここではサロンで最もポピュラーである酸化染毛剤(以後ヘアカラーと呼ぶ)について、 どんな成分が入っているかを見ます。前回言ったように、ヘアカラーは、1剤と2剤の二 つがあります。1剤は主に染料が入っており、2剤には主に過酸化水素水が入っています。 しかし入っている成分はそれだけではありません。

■ 1剤

染料:酸化染料(酸化反応によって発色する染料)、 カプラー(調色剤、主にトーンを調整する役割がある)、直接染料 などが配合されている。現在は約50種類の染料がある。

pH調節剤:アルカリ剤と呼ばれている。 毛髪に残留しにくいアンモニアが0〜15%の濃度で含まれている。アルカリ剤には 二つの役割がある。一つは、キューティクルを開く(こじ開ける)。これによって染料や 過酸化水素などの有効成分が浸透しやすくなる。もう一つはメラニンの分解を促す。 過酸化水素のアシストになっていることに注目。

アルカリ度が強いヘアカラーをアルカリカラーと呼び、アルカリ 度が弱いヘアカラーを弱酸性カラーと呼ぶ。アルカリ度が強ければ強いほど、 キューティクルの開きが大きくなる。そのため髪のダメージが大きくなることに注意。 アルカリカラーは、ヘアカラーとしての効果は大きいが、髪のダメージが大きい。 逆に弱酸性カラーは、髪のダメージは小さいが、効果はアルカリカラーに比 べて小さい。どちらを使うかはケースバイケースである。

クリーム基剤:油脂類+界面活性剤。1剤全体を乳化さ せる(クリーム状にする)役割がある。取り扱いやすい上に、毛髪の 保護効果も高いことから、最近はクリーム状の製品のシェアが、 液状よりも大きい。

コンディショニング剤:湿潤剤、増粘剤。髪の栄養の流出を抑える。 ヘアカラー剤を使う際、キューティクルを開くので、髪の中にあるケラチンや 油分が流出してしまう。コンディショニング剤には、流出した髪の栄養を 補うために、油分やケラチンが配合されている。また栄養が流出しにく くするように、粘度や付着性を高める成分が配合されている。

安定剤:酸化染料の劣化を防止する酸化防止剤が配合されている。システインなど。 また不純物としての金属は、製品を劣化させるのに、その防止にEDTAなどの キレート剤が使用させる。キレート剤は金属を包み込む(マスキングする)性質がある。

香料:アンモニア(アルカリ剤)の刺激臭などを和らげる。

溶剤:精製水、有機溶剤など。


■ 2剤

酸化剤(超重要):過酸化水素水。日本では6%まで配合 が認められている。酸化染料を酸化し発色させる 役割がある。またメラニン色素を分解して脱色させる役割も担っ ている。過酸化水素水の濃度のことをオキシ濃度と呼ばれ る。また脱色する強さの度合いを「リフト力」という。オ キシ濃度が濃いって事は、リフト力が大きいことを表している。 これらの言葉は絶対に押さえておこう。

pH調節剤:一般的にリン酸が使われる。過酸化水素水はpHが大きいと 不安定になり、分解しやすくなってしまう。製品を保持するために酸性にして 安定に保つ。pHは2〜3くらい。

乳化基剤:油脂類+界面活性剤。クリーム状に役割がある。

安定剤:フェナセチン。過酸化水素の安定剤として使用。

溶剤:精製水、有機溶剤など。


■ サロンカラーとホームカラー

サロンカラー:サロンで使用するヘアカラー。業務用ともいえる。
ホームカラー:自宅で使用するヘアカラー。家庭用ともいえる。

ヘアカラーは、薬事法によって使用できる成分に制限があります。 この制約の中で、サロンカラーやホームカラーともに、最良の効 果が発揮できるように製品開発されています。したがって、薬剤の基本的な 構成は、両者に大きな違いはありません。

しかしサロンカラーはプロの美容師が使い、ホームカラーは 自分自身が使う(素人が使う)という、大きな違いがあります。

サロンカラーでは、理美容師がクライアントの髪の色を考慮して、 適切な選択ができるので、幅広い色に対応が可能です。そのため色 数が非常に多く、鮮やかなトーンのヘアカラーもあります。

また理美容師はクライアントの髪の状態よって、 薬剤を使い分けることも可能。例えば1剤では、同じ染料が配合されている製品でも、 アルカリカラーだけでなく、弱酸性カラーもあります。もしクライアントの髪が ひどく荒れているなら、弱酸性カラーを選ぶといった選択もできます。(理由: アルカリカラーは、キューティクルを痛める要因になるから。)2剤においても 様々なオキシ濃度のものが用意されているのです。

ホームカラーでは、厳密な計算が無くても、求めるる仕上が りが得られるような色調に設定されています。例えば白髪染めは、黒髪と白髪の なじみが良くなるように、黒髪に近い暗い茶色やオフブラックが中心です。 おしゃれ染めでも、髪の状態による色ムラが出にくいように、低彩度の色が 中心です。ドラックストアのヘアカラーのコーナーに行けば、このことに気 が付くはずです。少なくても原色みたいなヘアカラーは無いはず。

またホームカラーは製品形態においても、使いやすさが優先されており、1剤と2剤を 同時にブラシに出して直接塗布するタイプや、くし部から薬剤が出てコーミングの 感覚で塗布できるものもあります。

サロンカラーの特性
・色の数が豊富で、高彩度のヘアカラーもある。
・アルカリ量やオキシ濃度が異なるアイテムもある。

ホームカラーの特性
・染めムラが出にくいなじみの良い色調が中心。(主に低彩度の色)
・混合や塗布などにおいて、使いやすい製品形態が工夫されている。

■ ヘアダイのイメージ

ちょっと余談ですが、ヘアカラーはカラーリングとかヘアダイとか、 いろいろな呼び方があります。しかしヘアダイという呼び方は、英語圏の 美容師にとって、かなり嫌いなようです。なぜなら「ダイ⇒die=死ぬ」 という連想があるからです。ちなみにヘアダイの「ダイ」は染めるという 意味です。

「ためしてガッテン」というNHKの番組で、 ヘアカラーについて取り上げられたことが ありました。(2002年10月30日放送)山瀬まみの髪のダ メージを調べる企画があり、予想以上にヘアダメージが あることがわかり、彼女は驚いていました。彼女は 最後に、ボードにマジックで「hair dye hair die」 と書き、「ヘアダイは髪の死」は発言していました。

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