白は私たちの身の回りにたくさんある色の一つです。 白衣や包帯,ワイシャツ,乗用車など、白を使った製品は 、頻繁に見かけます。これら以外でも、白を使った商品は 非常に多いです。タバコや壁紙,文房具,本の表紙,化粧 品,ペットボトルのパッケージなど、製品で白が全く関わ らないものは、そんなに多くはありません。しかも色彩が 自由に選べる環境にも関わらずです。

その理由として、白は比較的みんなに好まれる色、言い換えると 無難な色であることが考えられます。日本色研は「日本人の嗜好色」の 調査を行ったが、その結果によると、白は日本人に最も好まれる色彩の 一つです。白のライバルとして、青や黒や赤などがいます。紫は時代に よって変動が激しいです。

また1991年をピークに、自動車の半数以上が、白い自動車で した。この年に限らず、白は自動車において、定番色の一つです。 多くの人に好まれる色を車に付ければ、その商品自体も多くの 人に好まれるため、白は「売れる色」になり得ます。

白のイメージとして「清潔な」「高級な」「明白な」 などが挙げられます。現在白と言うと、ワイシャ ツのような純粋な白を指すことが多いです。ちなみに ワイシャツは、「white shirt」が訛ってできた言葉です。 ちょっと色みが有る白は、普通は白とは呼ばずに、オフホワイトと 言うことが多いです。

しかし染色技術が発達していない昔(江戸時代まで)は、 白と言うと、ピュアホワイトだけではなく、色みがついている白も 「しろ」と呼ぶことがありました。白と言う漢字は、 指の爪から生じた象形文字です。爪の色は、 純粋な白と言うよりは、 肌色に近い、すなわち色みがついた白に近いです。

昔は「しろ」と言うと、「素」という漢字が用いられていました。 実は今でもこの漢字を「しろ」と言う意味で、使っている場面があります。 それは「素人」です。「しろうと」と言うと、まだ知識や技術を持たない人を 指します。何も技術がない純粋な状態を指すのです。また踊り食いをする 「白魚」は、白濁している魚であるが、シラス干にするシロウオは漢字で 「素魚」と書き、無色透明な魚です。

現在は「しろ」と言うと「白」を指すけど、着色技術や染料,漂白技術が 発達していない昔は、「しろ」というと「素」の状態を指していたと 考えられます。例えば服に良く使われる木綿は、はじめから白ではなく、 きなり色(うすい褐色)です。(カロチンの変質による。)漂白剤によって、 木綿は、私たちが良く知っている白になります。もちろん昔は強力な漂 白剤はなく、素の木綿の状態を「しろ」と呼んでいたそうです。 また麻も最初から白ではなく、色みがついています。

「しろ」→素の状態、染まったいない状態

これらを背景に、色が付けられていないという意味の「しろ」は、 「混ざりけのない」「純粋な」といった意味を持つようになります。 技術が発達し、「白く」着色できるようになってからも、このイメージは 続くことになります。

白状、告白、自白などの「しろ」は、「真実を述べる」「はっきりする」 と言った意味であり、白状する場所は「お白砂」です。明白、潔白など も「はっきりした」という意味です。「白黒ハッキリさせる」「容疑者 はシロだ」の白も、「本当」「真」の意味です。

つまり今私たちが使っている白は、色の「白」と言う意味だけではなく、 「素」の意味として使っていることもあるのです。

また「しろ」は着色されていないという意味から、「虚」「無」という 意味も取れ、「しらじらしい」「空白」といった使われ方もします。 また「しろ」は「普通の」「ただの」と言った意味もあり、「白帯」「白旗」 「白兵戦」と言った使い方が生じます。

「環境白書」など、官公庁が出す報告書を「白書」と言います。 イギリスの外交報告書の表紙が白であることから、このように命名され ました。しかし「しろ」という意味を考えると、これほど相応しい 言葉はないと思います。

柔道や剣道も、初級者は白帯です。「まだ技術が未熟だ。」「素人だ」 といった意味があります。囲碁の白にも、素人という意味があります。 試合の際、白目は、腕の良くない人が使うらしいです。

日本では、白は儀式上で非常に重要な色でした。しろは隠し事がなく、無垢な 状態になることから、シャーマンは白装束を身に付けて、神と交信 していました。結婚式でも、花嫁は白の服や角隠しを装備し、 忠誠や純潔を誓っていました。最近ではウェディングドレスが多くなり、 少しずつではあるが、「結婚式白一辺倒主義」が崩壊しています。 (それでも白が多いが。)

ちなみに葬式でも白は重要な色でした。「えっ葬式って黒じゃない」と 思われる方もいるかもしれませんが、葬式で黒が用いられたのは 案外新しく、明治時代以降です。それまでは葬式では白が用いられていました。

地域差はあるが、お供えものは、白木の高杯に白紙を敷いて、白餅や白米を載せます。 御神酒は白酒です。これらの白は、決して純粋な白とは限りません。白木は 白い木ではなく、着色されていない木です。つまり「素」の意味に相当します。 白餅や白米も同様です。御神酒はかつては白濁であったが、清酒が登場してからは 、「素」酒の意味で用いられています。しめ飾りも「しろ」であり、神棚も白木で 作ります。

このように白は、様々な儀式で「純粋な」「隠し事がない」などの意味で用いられ たと考えられます。

また日本では動物が白くなると何か特殊な力があると考えられ、白鹿,白蛇,白虎, 白兎,白鼠,白狐などは神の使いと見なされていました。絵馬に描かれている馬も白で あることが多く、古代の神道ではシャーマンは白の化粧をしたとも言われています。

また白の化粧は、つい最近まで女性の間で、神聖視されていました。「肌の白いは 七難隠す。」という言葉も、化粧の「白神聖主義」が背景に生まれた言葉です。 白は「純粋な」という意味があることから、白の化粧は、「私を染めてください。」 と言うメッセージを、男性に言っているかもしれません。そう考えると、その時代の女性の 立場の一面を伺うことが出来ます。化粧の「白神聖主義」が崩壊したのは、1920年代 以後です。女性の自立化が、背景になっているかもしれません。

FF6で出てくるティナもトランス状態になるとき、白に近いピンクになります。 神に近い状態を表しているなぁと思いました。

「素」の意味である「しろ」はマンガでも用いられています。 「月光仮面」「怪傑ライオン丸」など白は正義を表している面があります。 愛と正義をテーマとする「レンジャーシリーズ」でも、シロレンジャーは 頻繁に登場します。

このように「しろ」は「素」から生じ、「白」になった現在でも、昔からの 「しろ」が様々な形で生きていて、私たちの生活に深く根ざしています。

SEO [PR] おまとめローン 冷え性対策 坂本龍馬 動画掲示板 レンタルサーバー SEO