新1級2次の特性&スクール問題

色彩検定の大衆化によって、「採点が楽で、アルバイトでも採点が でき、採点基準がはっきりした問題」を作ることが要請されました。 どう解決すればいいのでしょう?

簡単です。「客観テスト方式」の問題を作ればいいのです。解答の自由度が小さい問題 を作れば、この三つの悩みはあっというまに解決します。 「色彩というあいまいな分野でそんなことできるのか?」と思うかもしれませんが、 それが簡単にできるのです。どのようにすればいいかというと、

1.説明問題は出さない。

まず説明問題は絶対に出してはいけません。なんでかというと、採点基準が あいまいになりやすいからです。もし説明問題を出したかったら、選択問題にしたり、 穴埋め問題にすればいいのです。このように解答の自由度を減らすことが、 採点者の要望をかなえるポイントです。

良い例:ドミナントカラーの意味として正しい説明を下の選択肢から選びなさい。
悪い例:ドミナントカラーについて説明しなさい。

ちなみに俺が1級2次を受けたとき(2003年)、「記述式問題が出る」と 噂されたことがあるが、採点者の立場を考えれば、それは難しいことが分かります。 出すとしても穴埋め問題がせいぜいです。あとこれは色彩講師やパーソナルカラーのサロンの人の 話ですが、1級2次試験は採点はアルバイトがやっているらしいです。 したがって論述式問題は出せないことが分かります。

2.答えの数を減らす。そのために制限をたくさんつける。

採点基準がはっきりした問題が(正解・不正解がはっきり 分かる問題が)、つくりやすいです。例えば「類似色相配色をつくりなさい」という問題 を作るより、「dp12を使った類似色相配色を作りなさい。ただしトーンはdpトーンでそろえること。」 って問題の方がお勧めです。

「類似色相配色を作りなさい。」

これだといろいろな答えが出てしまいます。

「dp12を使った類似色相配色を作りなさい。ただしトーンはdpトーンでそろえること。」

これだと解答はたったふたつしかありません。(dp12,dp10 or dp12,dp14) 採点する側もきわめて楽だし、アルバイトでも採点できます。「dp12を使う」 「二色ともdpトーンでそろえる」などの制約条件を使えば、答えの数を 減らすことが可能です。

3.用語の定義をはっきりさせる。

用語の定義をはっきりさせるのも手です。例えば暖色系は「暖かい感じの色」ということが できますが、1級2次の世界では「色相が1〜8の色」です。たとえ自分が温かいと 感じなくてもです。はっきりした定義を作り、それを利用すれば、客観テストは つくりやすいです。最も用語の定義をはっきりさせないと、試験にならないから・・・。

4.数字・記号をとことん利用する。

数字で問題の自由度を減らすのも、かなり有用です。あいまいさを排除するには絶好の 方法です。例えば「高明度・低彩度のトーン、色相がYの色を 使って、色相差が4の二色配色を作りなさい。」です

解答:ペールトーン(高明度・低彩度のトーン)でかつ色相がYの色はp8+である。 色相差は4なので、答えは「p8+ p12」あるいは「p8+ p4+」です。

さてこれの応用例が、新1級2次のメインである「明度責め問題」です。「明度差が4の配色を・・」 「明度が3のカラーカードを用いて・・・」というように、各カラーカードの 明度&彩度の値を暗記しないと解けない問題です。旧1級2次の 問題には見られない特徴であり、新1級2次の殆どの問題が「明度責め問題」です。 合格できるかは、明度&彩度を全部暗記し、それが自在に使えるかに、 かかっていると言っても言い過ぎではありません。

漠然と言っても、分かりにくいので、例題を見てどんな問題が あるのか検証してみましょう。

例.d8を使った、同一明度の補色色相配色 ( d8 )(  )

補色色相配色ですから、色相は20(青紫)になります。 d8の明度は6です。色相が青紫で、明度が6の色はlt20+ しかありません。したがって答えは「d8,lt20+」です。

このように明度の知識がないと絶対に解けません。 この手のように、明度&彩度の値が知らないと解けない問題が 増えました。ちなみにファッションやインテリアのコーディネートの 問題もそうです。またこの問題は答えがひとつしかありません。 採点者も楽になるし、採点基準もはっきりしているのでクレームが 来ることもありません。

■ カラーセンスがなくたって合格できる1級2次

用語の定義をしっかり叩き込み、明度&彩度スケールをしっかり暗記して、 自在に使えることが、新1級2次を合格するポイントです。(旧1級2次でも 当てはまる面が多い。用語をしっかり理解していないと説明できないし。) だからカラーセンスなんてものは、まったく必要ありません。(大丈夫、俺でも 一発ストレートで合格できたから。)システマチックに用語や数字を分析 すればいいのです。

ある本で「1級2次は色感がないと合格できません。」と書かれていたが、 そんなことは絶対にありえません。旧1級2次ならそういう面もあるかもしれないが、 新1級2次ではその考えは間違いです。おそらくこの作者は、旧1級2次に慣れ きっている方だと思われます。

センスなんかまーったくなくても合格できます。むしろ感覚的な考えに とらわれすぎると痛い目にあいます。

■ 色彩検定の対策スクールが増加

システマチックな問題になると、逆に言えばテクニックを相手に伝えやすい メリットもあります。あいまいな問題だと人に伝えるのは大変です。問題パターンを 解析して、問題や解答のテクニックを伝える機関、すなわちスクールが目立ってきました。 まして色彩検定は文部省に認定されて、大衆化したので、「色彩検定の講座を受けたい」と いうニーズも高まっていました。色彩検定の講座があるスクールでものすごく有名なのは ヒューマンアカデミーです。サミュエルもかなり有名です。2003年の1級の合格者の 三割がヒューマンアカデミーに通っていたという報告もあります。

■ しかし新たな問題が・・・

さてこのようなスクールが増えるとどうなるのでしょう? 1級2次を攻略するためのテクニックを持っている人が増えてし まいます。テクニックといっても、覚えることは決して多くないし 、ちょっと練習すれば、習得するのは難しくはありません。

このようなテクニシャンが増えると、色彩検定1級の合 格率が上がります。あと前述したように、色彩検定1級の合 格率は10%が相場でした。

さてここでまずいことが起こります。合格者を増やすのは、かなり やばいです。なんでかというと、一般人&色彩検定受験者に、1級の 価値(⇔色彩検定の権威)は落ちたと思われるからです。 ちなみに2級や3級は、合格率が変化しても、そんなに問題は ないと思われます。

どんな検定でもそうですが、1級は「検定の権威」になりやすいです。 「シンボル」といっても、「検定の顔」と言ってもいいです。英検1級も、 権威を保つために(⇔合格率を維持するために)、重箱の隅をつ つくような問題が出ることがしばしばあるようです。気 象予報士の学科問題もそうらしいです。 このようなことになると、色彩検定は選抜試験になっ てしまいます。とくに上級は面目を立てるために、選抜 試験化しやすいような気がします。

さて合格率を減らすには、どうすればいいのでし ょう?それはやたらにひねった問題を作るしかなくな ります。あと採点基準を厳しくする手もあるが、それは ほとんどできません。なんでかというと新1級2次は、 採点基準がはっきりした問題(答えの数が限られている問 題)ばかりで構成されているからです。

さてどのようにして合格者を減らすのでしょう?それ を推測するには、出題者側の心理を考えることが肝要です。 「不合格者製造マニュアル」を次回紹介します。

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