旧1級2次の特性と問題点(1996年まで)

■ はじめに

ここは色彩検定1級を合格した人またはこれから1級を受けようと思っている人以外は、 得られる情報は少ないです。色彩の知識もある程度あると前提で進めます。

はじめに言います。色彩検定1級は落とすための試験です!!(ただしテキストが 改定した後はどうなるかは分からない。)あの無意味な一級二次、どう見たって落と す試験にしか見えません。逆に2級や3級は色彩の基礎知識が網羅されているから、 色を扱う職業の人はとっておく意義はあります。1級1次も決して悪くありません。 しかし1級2次のある意味が俺には分かりません。俺には1級2次は不合格者を 増やすツールにしか見えません。

ここでは色彩検定1級2次の歴史を追って、なんで1級が「落とす試験」になったかを考察し ようと思います。考察するためには、旧1級2次試験と新1級2次試験の特長を つかむことが非常に重要なので、それらの比較をまず最初にします。

■ 色彩検定のはじまり

色彩検定は1990年にAFT(All Fashion Teacherの略)の主催によって 開催されました。ご存知のとおり、色彩検定は3級〜1級の三段階があります。 このときは3級〜1級まで年に一回ありました。(途中で3級2級に限って年に二回になり 、現在に至っている。)

このときは色彩検定はあまり一般人の間には知られていなくて、どちらかといえば服飾関連や デザイン関連の社員教育のツールとして使われていました。つまり色彩検定は、 限られた業界の人以外には、あまり知られていなかったのです。またこのときの検定は、 色の知識だけでなく、ファッションの歴史や繊維,服飾史等の問題も結構多くて、 一般人が合格するのは大変でした。そして何よりの特徴は、筆記問題であった ことです。選択問題があまり無く、記述式の問題が結構ありました。 そして旧1級2次の問題も、新1級2次の問題とはまったく性格が違いました。

■ 旧1級2次の特性〜自由度が高い問題

まず旧1級2次の問題例から。

問題:ファッションショーがあって、モデルのコーディネートを考える。 使うアイテムはトップス(インナーとアウター)、ボトムス(スカート)、ハットを用いるとする。 また今回のファッションショーのキーワードのひとつはロマンチックであるから、 ロマンチックなイメージにしたいとプロジューサーから支持があった。 あなたならどのように考えるか?次の問いに答えなさい。

1) トップス、ボトムス、ハットの色をカラーカードの中から選び、貼り付けなさい。 またカラーカードのPCCS記号も併記せよ。

インナー(   ) アウター(   ) ボトムス(   ) ハット (   )

2) 突然予定が変更して、モデルに髪飾りをつけることになった。髪飾りはボトムスの 反対色(対照色相配色また補色色相配色)にしたいとの指示だ。あなたならどのような 色の髪飾りを選ぶか?カラーカードの中から色をひとつ選び、解答欄に貼り付けよ。また PCCS記号も併記すること。

髪飾り (   )

3) 1のコーディネートの理由を配色用語を交えて説明しなさい。

他にもこんな問題も。

1.与えられた配色条件にしたがって配色せよ。使用したカラーカードの記号を カッコ内に記しなさい。(最近の試験と違って解答の幅が広いのがポイント)

A.モノトーン配色 (  )(  )(  )
B. トーン・イン・トーン配色(  )(  )(  )
C. 暗清色調のドミナントカラー配色(  )(  )(  )
D. 中彩度で高明度の色を使用したトライアド(  )(  )(  )
E. レピテーション(  )(  )(  )(  )(  )(  )

2.以下の用語を説明せよ。(配色用語や色彩調和論について問われることが多い。 逆に物理や化学についてはあまり出ない。前の問題の融合バージョンもありうる。)

A.なじみの原理
B. コンプレックスハーモニー
C. カマイユ配色

3.対比現象の例をカラーカードで作成し、対比現象の意味を簡単に説明する問題。

4.カラーカードの明度(PCCS)を答える問題。例えば「v8の明度の値は?」など。 「明度・彩度の数値+配色用語」の知識を必要とする問題が、新1級2次の主流 である。つまり各カラーカードの明度&彩度の値を覚えないと、新1級2次には、 まったく歯が立たないのだ。カラーカードの明度を答える問題は、一昔前(1996年以前)にも あったが、それは一部に過ぎなかった。

5.1次試験も説明問題や記述問題が結構あった。 

どんな感じの印象を受けたのでしょうか?最近の問題と比較すれば分かるはずです。 旧1級2次と新1級2次の決定的な違いは、1つの問題に対する答えの数(答えの自由度)です。 つまり旧1級2次は、ひとつの問題に対しての答えが、たくさんあるのです。(もちろん1つだけしか ないこともあるが。)論述式問題が好例です。いろいろな答え方があります。 それに対して新1級2次は、マークシート問題のように、答えが1つ(少数)だけって、 パターンが多いです。客観テストみたいなものです。

このときは色彩検定を受ける人が極めて少なかったから(まして1級ならなおさら)、 自由度の高い記述式問題であっても、採点者の負担は少なかったです。 1996年までこのような問題が続きました。しかし論述式問題があったことと、 1級には1次試験と2次試験の二つがあったことから、受験者にとっては難しくて、 1級の合格率は10%でした。(この10%という数字はすごく重要 です。覚えてください。)

■ 色彩検定大衆化問題

1995年、AFTにとって大きな出来事がありました。それはこの色彩検定が文部省に 認定されたことです。これを機にAFTは「ファッションコーディネート色彩能力検定」 という名前にしました。これまで色彩検定は、民間資格であったのですが、 文部省に公認されたから「公的資格」に変身しました。こうなると、 知名度があがり、受験者の数もかなり増えました。

受験者の数が増えると、必然的に採点する答案の数が増えます。文部省に認められてから、 3級2級は結構増えたが、しばらくの間は1級の受験者は少なかったです。(相対的にも 絶対的にも少なかった。)、しかし時間が経つにつれてジワジワと1級に挑戦する人が 現れ始めました。こうすると前回紹介したような論述式問題は出しにくくなります。

何故でしょうか?それは採点者の立場になれば分かります。 受験人数が多くなりすぎると、採点者にとって、自由度の高すぎる 論述式問題を採点するのは苦になります。

「採点者を増やせばいいじゃないか?」と思うかもしれません。 しかしこの手の問題の採点者を探すのは、ものすごく大変です。 ある程度の色彩の知識が必要であるからです。適当に、アル バイトを雇うわけにはいきません。

3.採点基準があいまいになってしまう。(クレームが出やすい)

文部省に認められて、大衆化したことを背景に、採点基準があいまい な問題も出しにくくなります。「なんでこの記述だとやばいんだ。」 とクレームがかかることもない訳ではありません。受験者が多いから、 その確率はアップします。

論述式の問題は採点基準があいまいになりがちです。

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