9 スカジの婿取り

スィアチの娘で、スカジという美しい女巨人が居た。スィアチが神々に殺されたと知ると、スカジは重装備でアースガルドに乗り込んだ。「われの父を殺したのはお前たちだな。父の敵だ。」誰が見ても彼女は殺気立っているように見えた。

戦うのに飽きていた神々はスカジに和解を求めた―――父を殺した怒りを静めたら何でも払うと。彼女は神々の一人と結婚すること、しかも自分で結婚相手を選択できるなら怒りを静めても良いと言った。彼女の理想の相手はバルドルという美しい神であった。バルドルは神々の中で最も美しく汚れた心はひとかけらも無かった。

「こんな美しい神を巨人になんて。」と思った神は、一つだけ条件を付け加えた。「神々を選ぶ際に、足だけを見て選ばなくてはならない。」と。(嫌がらせなのでは・・)シアチはその条件を呑んだ。

早速神々は並んで一列に座り、足以外は布で隠した。もちろんその間スカジは目隠しをしている。そして、ついに究極の選択が始まった。

「私はこの足を選びます。バルドルは完璧に美しい神ですし。」スカジは全員の足を見て決断を下した。しかし相手はバルドルではなくニヨルドであった。ニヨルドは海を司る神であり、彼の足は海で洗われて美しかった。

この意外性にはスカジもびっくりした。まさかバルドルより足が美しい神がいるなんて・・・。(そりゃ、バルドルもオールマイティーではないしね・・・。)

結局スカジとニヨルドは結婚した。スカジは巨人でありながら、アースガルドの市民権を持つことができた。しかし山の巨人であるシアチは山を好み、海を司る神であるニヨルドは海を好んだ。そこで二人は、9日はスリュムヘイム(山間)に住み、次の九日間はノーアトゥーン(海辺)に住むことで折り合いがついた。

しかし、この好みの違いは別居生活を招いた。ニヨルドは山からノーアトゥーンに帰ったとき、こう歌っている。

山は嫌いぞ
九日より長居は無用
狼の遠吠えより
白鳥の歌こそ快けれ

スカジは次のように歌った。

海辺の床は
海鳥の鳴声耳につきて
眠れず
朝ごとに鴨は沖より帰り
われは目様覚ます

こんなありさまでは結婚生活は長続きしない。二人は結局、別居生活をすることになった。スカジは山に戻り、スリュムヘイム(スィアチの館)に住んだ。その後、ニヨルドとスカジは二人の男女を生んだ。息子はフレイと言い、娘はフレイヤと言った。

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