26 ロキの口論

今日は楽しい大宴会。会場は海神エーギルの館。この宴会はめちゃくちゃ大宴会なので、ほとんどの神が出席していました。妖精もたくさんいて、みんなにぎわっています。ただムキムキ筋肉のトールは、東方に出かけていて留守でした。もちろんロキもいました。

ロキは天邪鬼というか、ひねくれものというか、そういう性格なので、神々が楽しくにぎわっている様子をみると、不愉快で不愉快でたまりません。

フィマフェングとエルディルは、神々にチヤホヤされていました。二人は海神エーギルの従者です。「てめぇら、神々にちやほやされやがって。」とロキはムカついて、フィマフェングをブスっと殺してしまいます。

これには神々も怒り、ロキを宴席から追放します。それからまた神々は飲みなおしました。(人が死んだのに・・・)ロキは宴席に引き返そうとしたが、宴席の門でエルディルにバッタリ会いました。

さぁ、ここからロキの毒舌が炸裂します。Are you ready?


ロキ
  「動くな、エルディル。神々は宴席で何を話しているんだ。」

エルディル
  「神々は武器や武勇伝のことについて話しています。誰一人たりとも、あなたのことを良くは言っていませんよ。」

ロキ
  「なに〜〜、こうなったら俺様が酒席を台無しにしてやる。」

エルディル
  「いけませんよ。そんなことしちゃ。」

ロキ
  「良い子ぶってんじゃねーよ。俺様の悪口にかなう奴がどこにいる?」

それからロキは広間の中に入った。しかしみんなは不愉快な様子だ。誰もロキに話しかけようとしない。

ロキ
  「このロプト様(ロキの別名)が神々の宴席にやってきたぞ。さあとっとと椅子と席と酒を用意しろ。」

ブラギ
 「お前のための酒はない。」

ロキ
 「ちっ、いなくなって欲しいんだな。オーディン、昔俺たちは血を混ぜた仲だったよな。血の誓いは絶対だぞ。」

オーディン
 「・・・・。ヴィーザル、狼の父ロキに酒席をつくってやってくれ。ロキ、悪口はほどほどにな。」

ロキ
 「アース神に栄えあれ。アース女神に栄えあれ。全ての神に栄えあれ。…そこにいるブラギを除いて。」

ブラギ
  「剣と馬と腕輪をプレゼントしよう。だから神々に矛先を向けないようにな。」

ロキ
  「なにぃ矛先を向けないでだとぉ。ナマ言ってんじゃねぇ。てめえ女々しいんだよ、臆病者で、戦に出ることもできないくせによぉ。」

ブラギ
  「ここがエーギルの広間じゃなかったら、お前の首など簡単にすりつぶしてやる。」

ロキ
  「ああぁん?女々しいてめぇにそんなことできるのか?そんなに腹が立つなら、剣で語ろうぜ剣で。」

やばいと思ったイズンが割り込む。

イズン
  「ブラギ、神聖なエーギルの広間で、ロキの悪口を言うのはやめなさい。それにロキの悪口を言ったって血圧が上がるだけよ。」

ロキ
 「黙れ、イズン。お前はあらゆる女の中で一番いやらしい女だ。お前の兄を殺した男を、きれいに磨いたその腕で抱いたんだからな。恥だと思わないのか?」

イズン
  「まあまあ、ロキの悪口を言うのはよしましょう。私は麦酒で陽気になったブラギを、なだめたいだけなのよ。殺し合いになるのは嫌ですから。」

ゲフィオン
  「何で言い争いなんかするの?ロキの悪口なんて、アースガルド名物なのに。」

ロキ
  「お前は引っ込んでいろ。お前、男を誘惑したんだろう。察しは着いているんだぜ。首飾りをくれた生白い男に、膝まくらしたんだろう。」

オーディン
  「ロキ、ゲフィオンはキレると怖いんだぞ。」

ロキ
  「なんだよオーディン。人間たちに勝利を公平に分けてやることも出来ないくせに。戦いの神だろ。なっさけないな。なんで臆病者に勝利を与えるんだ。」

オーディン
  「そんな痛いことを・・・じゃあわしも言うぜ。八年もの間、地下で乳絞り女になって、その上子供までこしらえたじゃないか。お前のオカマぶりには失望したぞ。」

ロキ
  「アンタこそオカマちゃんじゃん。サームス島で、魔法を使ったというウワサを聞いたことがあるぞ。魔女の格好をして人間たちのところへ行ったじゃないか。魔法なんて女のやるものだ。男は剣だよ剣。てめぇそれでも男か?」

フリッグ
  「まあまあ、そんなに目くじら立てなくても。過ぎたことは過ぎたこととして水に流しましょうよ。」

ロキ
  「ほぉーフリッグさん。お前は男狂いだったな。オーディンの妻のくせに、ヴィリとヴェーイ(オーディンの兄弟)の二人を抱いたことがあるらしいな。」

フリッグ
  「なな・なんてことを!!ああ、私の息子バルドルが居てくれたら・・・」

ロキ
  「バルドルをネタにするなんてずるいねぇ。俺様の毒舌をもっと聞きたいようだな。バルドルを殺したのは俺様だぜ。俺が殺したんだよ俺が。」

フレイヤ
  「あんた狂っていない?あんな恐ろしい事件を語るなんて。あんたの運命はお見通しよ。」

ロキ
  「フレイヤには言いたいことがいっぱいあるぜ。ここに居る神や妖精はみ〜〜んなお前の恋人じゃないか。いやらしいやつめ。」

フレイヤ
  「うそばっかり。あんた、ちょっとは言葉を選びなさいよ。あんたなんてすぐに追い出されるわよ。」

ロキ
  「魔女の癖に生意気だ。お前がアニキと何をしたのか、みんなの前で言うぞ。」

ニヨルド
  「まあフレイヤ抑えなさい。一人の女が夫や情夫、またその二人と一緒に寝たって、たいしたことはないだろ。」

ロキ
  「ずいぶん大言吐くじゃねーか。このトイレ野郎が。てめえは人質の身だろ。(グサッ)人質として送られたとき、ヒュミルの娘たちの便器代わりになったじゃないか。(ザクッ)」

ニヨルド
  「そう人質としての道は遠かった。だが私にも良いことがあった。私はアースガルドのプリンスであるフレイをもうけたのだ。」

ロキ
  「ほぉ、フレイを出すのか?あんたもやるネ。だけどフレイは、お前とお前の妹の間に出来た子供じゃねえか。近親相姦でこしらえちゃって。」

チュール
  「近親相姦なんて大したこと無い。フレイは立派な英雄じゃないか。そんな彼をお前は批判するのか。」

ロキ
  「黙れチュール、お前は二者を上手くとりなすことができなかったくせに。フェンリルが噛み切ったお前の右腕を思い出すよ。」

チュール
  「俺は右腕を、お前はフェンリルを失ったから、おあいこだ。お前の息子フェンリルも、縛られたままラグナロクを待たねばならんとは、お気の毒だねぇ。」

ロキ
  「な、なにー。お前の女房は俺と寝て子供をこしらえたこともあるんだぜ。賠償金もとれなかったお前はみじめな奴だな。」

フレイ
  「いい加減にしろ。口を慎まないと、お前もフェンリルと同じように捕縛されるぞ。」

ロキ
  「お前はギュミルの娘を、金で買った男じゃないか。お前の恋は所詮そんなレベルなのか。ムスペルの子供が、暗い森(ミョルクヴィズ)を越えて襲ってきたら、お前はどうするんだ?恋のために大切な剣を失いやがって。」

フレイの後ろからひとりの神があらわれた…。

ビュグヴィル
  「わしがイングナ・フレイ(フレイ)のように身分が高かったら、お前のようなカラス野郎なんてバラバラにしてやるのに。」

ロキ
  「てめぇのようなチビは全然覚えてねーな。お前は誰だ?」

ビュグヴィル
  「わしの名はビュルヴィルだ。神々はわしのことを素早いと認めているぞ。」

ロキ
  「食事の世話もロクに出来ない奴が何を言う?それに戦のときはどこにいた?どうせ藁の中に隠れてたんだろ。まったく、度胸のない奴め。」

ヘイムダル
  「ロキ、悪酔いもたいがいにしろ。」

ロキ
  「おいおいヘイムダルちゃん、見張りなんて地味な仕事はやめて、パーッとはじけようぜ。まだこんな連中の肩を持つのか?」

ヘイムダル
  「俺はこの仕事が一番好きだ。」

ロキ
  「つまんない奴だなぁ。」

スカジ
  「ロキー、あんたホントに元気が良いわねぇ。だけど、もう年貢の納め時よ。もうすぐ神々はあんたを岩に縛り付けちまうんだから。」

ロキ
  「そんなこと知るか!!神々がお前の父シアチを殺したとき、俺は一部始終その場にいたんだぞ。」

スカジ
  「そんなことどうでも良いわ。私の屋敷から、あんたに呪いの言葉をかけてやるよ。」

ロキ
  「あーあ、いつからそんなに冷たくなったんだ。俺とお前はベッドで桃色遊戯をした仲じゃないか。」

トールの妻シフが進み出てロキのために酒を注いだ。

シフ
  「ようこそロキ。どうぞ蜜酒がそそがれた杯をお受けください。私だけにはその毒舌を向けないでくださいね。」

ロキ
  「もしあんたが貞節な人なら、見逃しても良いんだけどね。でもおあいにく様。俺はトールの妻と通じた相手を知ってるぜ。そう答えはロキさ。」

シフはあまりのショックで何もいえなかった。しかし、どこからか激しい物音が聞こえた。

ベイラ
  「山が震えています。きっとフロールリジ(トール)が帰られるのよ。ああ良かったわ。」

ロキ
  「ちっ、あの単純馬鹿が戻るのか。こりゃあ厄介なことになるぞ。ベイラ、お前のような奴がいること自体、場が汚れるんだよ。身分低いくせによぉ。」

そしてついにトールが扉を破り飛び込んできた。 ガッシャーーーーン!!

トール
  「この悪党め、俺がいないのを良いことにさんざん悪さしおって。ミョルニルでお前の骨と肉を砕いてやる。」

ロキ
  「威勢だけは良いな。だがフェンリルと戦うときは、そうはいかないぞ。フェンリルはお前の父オーディンを丸呑みするんだから。」

トール
  「黙れ、悪党。さもないとミョルニルでおまえの口を封じてやるぞ。フルングニルを殺したミョルニルが、お前の体をバラバラにするぞ。」

ロキ
  「おんなじことばっかりしゃべってやんの。そんな脅しの言葉なんて全然怖くないぞ。お前、スクリューミルの袋を開けられず、空腹に苦しんだことがあったよな。意外と弱々しいんじゃないの、英雄のトールさんがよぉ。」

トール
  「黙れ、悪党。さもないとミョルニルでおまえの口を封じてやるぞ。俺はもう限界だ。フルングニルを殺したミョルニルが、お前を死者の国に送り届けるであろう。」

ロキ
  「ついにマジギレか。これはやばいぞ。俺は神々に言いたいことを言ったが、そろそろおひらきにしよう。エーギル、もう宴会を開く必要は無い。いずれこの館は全焼し、お前の背中にも火がつくからな。」

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