バルドルの夢は神々を不安に陥れた。神々は会議を開いて、バルドルを助ける術を相談していた。しかし中々良い案が浮かばない。そしてある神がこう言った。
「バルドルが死ななければ、死の国に行かなくて済むんじゃない?」
な・な・な・なんて論法だ。果たしてそんなことができるのか?いやそれが出来ちゃうんだ、なんせ彼らは神様だから。バルドルの母フリッグが、9つの世界を廻り、あらゆるものに、バルドルを傷つけないでくれと頼んだ。フリッグは旅は苦しかったが、みごとに成功した。バルドルはみんなのアイドル、人間はもちろん、巨人も小人も、妖精もトロルも、暗黒妖精もモンスターも、そして水,火,風,地,動物,植物,武器,病気までもが、バルドルに害を加えないと誓った。
この実績に神々は驚くばかり。しかし「はたして、本当なのかな。」と疑う神も居た。そこで実験、誰かがバルドルに石を投げつけてみた。石はバルドルに当たったが、バルドルは全然痛くないと言った。神々は驚き、「もうバルドルは大丈夫だ。」と安心した。
神々は一つのゲームを思いついた。バルドルを真ん中に座らせて、四方からみんなで石なり矢なり、その他のものを投げつけるのだ。それは神々にとって、面白いゲームとなり流行した。
投げるものはどんどんエスカレートしていく。はじめは石や棒であったが、そのうち岩や剣、槍など危険なものをガンガン投げた。それでもバルドルは平気な顔だ。(これって、イジメじゃない?)トールのミョルニルとオーディンのグングニルを投げたが・・・バルドルの表情はスマイルだった。
しかしロキは、バルドルをひどい目にあわそうと、計画を練っていた。まずはじめに、ロキは老婆に変身して、フリッグのところへ訪ねた。
老婆
「あたしゃ変わった光景を見ましたよ。なんと、一人に向かって大勢が石などを投げつけているんです。一体どうした事かねぇ。 」
フリッグ
「そりゃバルドルには、武器だって、石だって木だって、病気だって、歯が立たたないわ。みんながわたしに、バルドルには決して害を加えないと、約束してくれたんだから。 」
老婆
「ほぉぉ、本当にそうですか?素晴らしいですね。」
フリッグ
「もちろんそうよ!ただヴァルハラの西に生えているヤドリギは例外なの。あれは若すぎるので、放っておいたのです。 」
ついにばれてしまった。ロキは元の姿に戻り、ヴァルハラの西に直行した。ヤドリギの小枝をとると、彼は一つの矢をつくった。
バルドルの兄弟に、盲目の神ヘズ(ホズル)が居て、力は結構強い方らしい。彼は目が見えないため、バルドル的あてゲームに参加できなかった。ロキはヘズにこう言った。
ロキ 「なんで君はゲームに参加しないんだ?」
ヘズ 「僕は盲目だから・・・。それに武器を持っていないしね。」
ロキ 「一緒に楽しもうよ。君はバルドルの兄弟だし。」
ヘズ 「でも武器を持ってないよ。」
ロキ 「ではこれをどうぞ。彼のいる所を教えるから。」
こういってロキはヘズにヤドリギの矢を渡した。ヘズはしっかりとヤドリギを握り、ロキの言う方向に思いっきり投げた。
矢はバルドルの胸を貫き、バルドルは死んでしまった。
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