ある夜のこと、小人アルヴィースはトールにこう言った―――あなたの娘の花婿になりたい、と。トールは「ぜーったいにダメ」と断った。
しかし、アルヴィ−スは「お前の許可をもらって、縁組にするつもりでいる。」と言った。アルヴィ−スは非常に頭がよく、何でも知っていた。トールは言った―――おれの知りたいことが、何でも答えれるのなら、娘を嫁にやってもいいぞ、と。
こうしてアルヴィースVSトールの頭脳バトルが始まった。
第一問、トールはアルヴィースに問いかけた。
「この大地はそれぞれの国ではどう呼んでいるんだ。」
「人間たちの間では「大地」、アース神の間では「原」、ヴァン神たちは「道」、巨人たちは「緑なるもの」、小人たちは「緑なすもの」、天の神々は「砂地」と呼んでいる。 」
さすがはアルヴィース。アルヴィースを英語で書くと「ALL WISE」、意味は「全てを知るもの」。トールはムキになった。
トール
「あの天はそれぞれの国では何と呼んでいるんだ。」
アルヴィース
「人間たちの間では「天」、アース神の間では「星の撒き散らされたるもの」、ヴァンル神たちは「風を織るもの」、巨人たちは「上の国」、妖精たちは「美しい屋根」、小人たちは「水の滴る館」と呼んでいる。 」
トール
「あの月はそれぞれの国ではどう呼んでいるんだ。」
アルヴィース
「人間たちの間では「月」、神々の間では「欠けるもの」、冥府では「回転する輪」、巨人たちは「韋駄天」、小人たちは「光」、妖精たちは「時測り」と呼んでいる。 」
トール
「あの太陽はそれぞれの国ではどう呼んでいるんだ。 」
アルヴィース
「人間たちの間では「太陽」、神々の間では「南の輝き」、小人たちは「虐げるもの」、巨人たちは「永遠に輝くもの」、妖精たちは「輝く輪」、アース神の子らは「全く明るいもの」と呼んでいる。 」
このようにアルヴィースの回答は、非の打ち所が無いほど、素晴らしいものであった。トールは立て続けに質問したが、アルヴィースはすらすらと答える。「この勝負、勝ったな。」と心の中で思っていた。時間はどんどん過ぎ、もうすぐ太陽が現れる頃に・・・
アルヴィース
「お前の娘は俺のものだ。 」
トール
「お前は頭がいい、こんなに頭のいい奴は初めてだ。だがアルヴィース、まんまと罠にはまったな。ほら、御天等様の顔が見えたぞ。石になるがいい。 」
太陽の光がアルヴィースを襲った。彼はしまったと思い、穴に逃げようとするが、もう手遅れ。アルヴィースは石化した・・・。
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