19 トールとフルングニルの決闘

トールは鉄の森でモンスターと戦っている間、オーディンはヴァルハラで留守をしていた。イライラしたオーディンは、スレイプニルに乗って、ヨーツンヘイムまで行った。そして最強の巨人であるフルングニルの館に着いた。

フルングニル「素晴らしい馬だな。」

オーディン「そうだな。わしの馬が一番じゃ。ヨーツンヘイムのどんな馬よりも優れているさ。」 

フルングニル「私だってスレイプニルに負けないくらい、素晴らしい馬を持っているぞ。」

オーディンは、そそくさとアースガルドに戻った。フルングニルは激怒し、グルファクスに乗って後を追った。彼はオーディンを追いかけることしか考えていなかったので、いつの間にかアースガルドの門を通り抜けていた。オーディンはフルングニルをヴァルハラの外の門で待ち受けていた。

オーディン 「喉が乾いているだろう。一緒に酒でも飲もう。」

こうしてフルングニルは酒をがぶがぶ飲んだ。オーディンは彼の飲みっぷりに感動していた。しかしこの巨人、一度酔い出すと大変なことになる。ほら吹きから始まって、自慢話を延々とし、ヴァルハラを奪うだの、シフとフレイヤを愛人にするだの、神々をうんざりさせた 。

酒を注げるのは、フレイヤ一人になった。みんな呆れ顔だ。ついに巨人は「全ての酒を飲みつくすまでやめない。」と豪語した。

とうとう神々は、トールを呼んだ。トールはハンマーを振りかざしたが・・・。

フルングニル 「てめぇ、それでも男か。武器を持ってないものを殺したって、何の名誉にもならんよ。卑劣な奴と後ろ指をさされるよ。」

トール 「なんだと!!じゃあ決闘だ!!決闘場所はヨーツンヘイムとアースガルドの国境辺りにあるグリョートナガルダルだ!」

フルングニル 「のぞむところだ。」

フルングニルは、ヨーツンヘイムに帰ってきた。巨人達は、フルングニルを褒め讃えた。彼は最強の巨人だから。それからトールと決闘するから・・・。

グリョートナガルダルに来ると、巨人たちは粘土の巨人をこしらえた。身長9リーグ,胸幅3リーグの巨人であった。最後に巨人たちは、近くにいた雌馬を殺し、粘土の巨人に雌馬の心臓を埋め込んだ。この巨人をミストカーフと命名した。

ついに決闘の日が来た。トールは召使のチアルフと,フルングニルはミストカーフと一緒にいた。トールの武器はミョルニル、フルングニルの武器は素晴らしい砥石である。

トールはミョルニルを、フルングニルは砥石を投げつけた。両者の武器は衝突して、砥石は砕け散った。しかし破片の一部は、トールの額に食い込んだ。トールは、うつぶせにぶっ倒れた。ミョルニルは、フルングニルの頭に命中して、彼の頭蓋骨を粉砕した。巨人はトールにめがけて倒れてきて、トールの首根っこを斜めに押さえつけた。

トール、大ピンチ!!チアルフはミストカーフに飛び掛ったが、相手はあっけなく倒れた。それからチアルフは、トールのところに行って、フルングニルの足を持ち上げようとしたが、動かすことが出来なかった。

「助けてくれ〜,この足をどけてくれ〜」

そこに生まれて三日のマグニが来て、軽々とフルングニルの足をどけた。マグニは、トールと女巨人イェルンサクサの息子である。(トールも巨人と結婚しているんだなぁ。)

トールは息子の怪力に感心し、「大きくなったら大物になれるぞ。そうだ、フルングニルが乗っていた馬グルファックスは、お前にやろう。」と息子を褒め称えた。

しかしトールの額には、まだ砥石が刺さっていた。トールは痛くて痛くてたまらなかった。そこでトールは、巫女グロアを呼び出した。彼女が魔法の歌を歌うと、砥石が抜け落ち始めた。痛みは完全に無くなり、もうすぐ石がなくなるだろうと思っていたトールは、お礼に彼女を喜ばしてやりたくなった。

トール
「お前の夫アウルヴァンディは、生きているんだ。お前は死んでいると思い込んでいるけどね。俺が夫を助け出したのだ。しかも夫はヨーツンヘイムにいたよ、あそこは危険極まりないからな。まぁそれはいいとして、もうすぐ夫が帰ってくるよ。」

これを聞いたグロアは、喜びのあまり超ハイテンションになり、魔法の歌を忘れてしまった。したがってトールの頭の中には砥石が入っている。

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